研究課題/領域番号 |
18H02562
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高倉 喜信 京都大学, 薬学研究科, 教授 (30171432)
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研究分担者 |
高橋 有己 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (00547870)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エキソソーム / サイトカイン / 免疫療法 |
研究実績の概要 |
エキソソームは細胞から分泌される直径100nm前後の膜小胞であり、細胞間物質輸送に関与している。エキソソームを介した輸送ががんの増殖や転移、免疫応答、炎症、神経性疾患、感染症、等の種々の生体内イベントに関与することが報告されているが、なかでも免疫応答には注目が集まっている。一方、生体内で産生された”内因性“エキソソームが、免疫応答をはじめ生体内で起こる種々の生理的、生物学的反応の過程に関わっていることが証明されているが、内因性エキソソームあるいはその機能を遺伝子導入で改変したエキソソームを治療に応用した試みは非常に乏しい。免疫制御能を有する内因性のエキソソームを体内で持続的に産生させることができれば有用な免疫療法になると考えられる。そこで本研究では、①種々の免疫応答を制御する分子を搭載したエキソソームの開発、②内因性エキソソームの体内動態の解明と制御法の開発を目指した。 本年度は、インターフェロン(IFN)-β、IFN-γを搭載したエキソソームを構築し、その効果について検討を行った。IFNのエキソソームへの搭載を確認したのち、Reporter assayにてエキソソームに搭載されたIFNは生物活性を有していることを確認できた。さらに、樹状細胞にIFN、特にIFN-γを搭載したエキソソームを添加することで、エキソソームの単独投与と比較してMHC classI及びCD86発現の増加が認められた。がん抗原を内包するがん細胞由来エキソソームにIFN-γを搭載し、これを樹状細胞に添加したところ、がん抗原が効率よく抗原提示されることを見出した。以上の結果はIFN搭載エキソソームの有用性を示す結果と考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免疫制御分子を搭載したエキソソームの構築とその有用性の証明にも成功しつつあることから、研究については順調に進捗したものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、免疫制御分子、主にIFNを外部に搭載したエキソソームについてさらに検討を行うとともに、免疫制御分子を内部に搭載したエキソソームについても構築を試みる予定である。
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