研究実績の概要 |
生活環境や時間軸の影響をうける認知症や糖尿病ではエネルギー代謝の異常が経時的に起こる。本研究では、認知症と糖尿病のエネルギー代謝に関わるグリア細胞と肝細胞に着目し、これら細胞のエネルギー代謝異常にNotch・Mib1経路が関与する分子メカニズムの解明とNotchシグナルの人為的制御によるこれら病態の改善法の確立を目指している。本年は、以下に示す3つの目標計画において下記に示す結果等を得た。1. 認知症:脳エネルギー代謝調節におけるNotch ・Mib1経路解析:ゼブラフィッシュの加齢や過食条件下でGlut1などグルコース代謝経路遺伝子に関わる発現変化を明らかにし、血糖値や脳認知機能との相関関係を解析した。さらに、ショウジョウバエまたはゼブラフィッシュモデルで加齢や過食条件下での個体を用いて、脳内細胞でのNotchシグナル活性とNotch・Mib1経路関連遺伝子の発現変化を明らかにした。細胞内のエネルギー状態を示す一つの指標である NAD/NADHの比を生細胞でモニターできるSoNar (sensor of NAD(H) redox)蛍光タンパク質をグリア細胞で観察できるライン(Casper; GFAP-Gal4; UAS-SoNar)を用いて、発生過程や代謝変化条件でエネルじー状態を解析した。2. 糖尿病:肝臓エネルギー代謝調節におけるNotch ・Mib1経路解析:ゼブラフィッシュを食事内容・タイミングなどの環境条件変化と血糖値変化とあわせた遺伝子発現解析をRT-PCRにより行った。3. Notchシグナル調節を介した糖尿病・・認知症改善手段の探索:リガンドDll4, Jaggedに変異導入したタンパク質を作製し、内因性シグナル阻害能力が野生型より強力な改変タンパク質を見出した。
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