研究課題
高浸透圧依存的な細胞体積収縮が細胞内でASK3の液液相分離(LLPS)を引き起こすことを見出し、このLLPSとその性状の制御がASK3の浸透圧応答に重要であることを明らかにした。この結果は、新たな細胞の浸透圧応答機構として論文にて発表した。ASK3プロモーター下流で蛍光タンパク質を発現するマウスによりASK3発現部位として発見した脈絡叢について、WTとASK3 KOマウス由来のサンプルに対してRNA-seqを行い、脈絡叢の機能として知られる、脳脊髄液産生、脳内免疫機構に関わる遺伝子の変化を確認した。またこれに基づき、多発性硬化症モデルであるEAEモデルにおけるASK3 KOマウスの表現型解析をスタートした。昨年度の結果から示唆されていたマクロファージでのASK3の発現も別の方法により確定させ、炎症性疾患とASK3の関与について、より踏み込んだ解析を進めた。独自に見出したNFAT5の制御分子について、クロマチン免疫沈降法やレポーターアッセイを利用して、この分子がNFAT5制御遺伝子のプロモーター領域に高浸透圧依存的に結合することが、十分なNFAT5のリクルートに必要であることを明らかにした。また高浸透圧時にNFAT5依存的に発現誘導される遺伝子の約46%がこの制御分子による影響を受けることがわかり、実際にq-PCRによって複数の遺伝子発現が影響を受けることが確かめられた。浸透圧依存的なNFAT5活性変化の新たな制御メカニズムとして提唱できると考えられる。浸透圧依存的な細胞代謝の変化については、脂質代謝と糖代謝に影響をあたえることを明らかにし、糖代謝の変化に重要なシグナル伝達分子を見出した。さらに、この代謝変化は高浸透圧環境で細胞が生存するために必要であることも明らかにした。その他、他の研究機関に属する研究者と浸透圧に関する共同研究を行い、論文にて発表した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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