研究課題
本研究を介して,以下に示す点を明らかにすることができた.まず,一酸化窒素(NO)によって発現が変化する遺伝子をRNAseqから求めたところ,有意に変化する約100種の遺伝子を同定することに成功した.これらの再現性を確かめるために,RT-qPCRを実施した.さらには,遺伝子発現に対するDNAメチル基転移酵素(DNMT)特異的ニトロシル化阻害薬の感受性についても検討した.その結果,酸化ストレス感受性でかつ,エピゲノム依存的な遺伝子発現機構を解明するに至った.同時に,ゲノムワイドなターゲットバイサルファイトシークエンスを行い,NO感受性脱メチル化部位の網羅的同定を試みた.その結果,多くのNO特異的脱メチル化部位を同定することに成功し,現在,遺伝子発現との因果関係について解析を行っている.また,ヒト大腸がんサンプルを使用して,実際にエピゲノム制御酵素がニトロシル化されていることも発見した.一方,分子特異的ニトロシル化阻害薬の開発に関しては,基本化合物の薬理活性を明らかにしてきたが,さらに有用な誘導体を作出するべく,in silicoシミュレーションを行なった.その結果,新たな構造を有する新規化合物10種を選定することに成功した.その中の一つを有機合成し,効力を調べたところ,先に単離した化合物と同程度の酸化抑制効果を有していることを明らかにした.さらには,NO依存的な遺伝子発現に対しても有効であることを確認した.今後は,他の誘導体に関しても,有機化学の手法を駆使して合成し,薬理効果について解析していく予定となっている.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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