研究課題/領域番号 |
18H02583
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
後藤 享子 金沢大学, 薬学系, 准教授 (50180245)
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研究分担者 |
三宅 克典 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (20597687)
斎藤 洋平 金沢大学, 先進予防医学研究センター, 助教 (90723825)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 熱帯林産植物 / 抗腫瘍活性 |
研究実績の概要 |
米国立がん研究所(NCI)に未解析のまま保存されている強力な抗腫瘍作用を持つ熱帯林産希少植物抽出液から新規活性天然物を見出すこと、得られた天然物に化学的手法を取り入れることで新たな生理活性創薬リード化合物の発見を目指すことが、本研究課題の目的である。前年度より単離精製を始めた3種の植物については、当該年度も引き続き解析を進め、ユニークな化学構造を有する新規化合物群、メロテルペノイド類及びキノリンアルカロイド類などを単離し、各種スペクトル解析によりその構造を決定することに成功した。またミカン科植物より新規アセトフェノンダイマーを単離構造決定し、さらに全合成を達成させ誘導体と共にその抗腫瘍活性と構造活性相関研究を行った。これらの成果は、それぞれアメリカ化学会発行の国際学術誌に報告した。また、新たに2種のNCI所有熱帯林植物抽出液の単離精製に着手し、植物化学的精査が進行中である。 シソ科植物より単離されたアビエタンジテルペンのエピマー体の全合成を達成し、その誘導体が、他のがん細胞に対して5-9倍強く難治性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)細胞のみの増殖を抑制することを見出し、国際学術誌に報告した。このことは、本化合物誘導体がTNBC特有のたんぱく質に作用している可能性を示唆しており、本化合物をプローブとして用いた標的たんぱく質同定に着手した。当該年度に単離に成功した上述のメロテルペノイド類及びキノリンアルカロイドの全合成にも着した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
それぞれの植物からの単離精製は順調に進んでいる。新規天然物の全合成は一部難航しているが、合成ルートの確立に成功した化合物もあり、誘導体合成、構造活性相関研究により興味深い結果を得ている。従って、概ね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
順調に進んでいる天然物単離は、このまま推進していく。難航している全合成化合物については、別ルートによる合成法に切り替える予定である。
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