研究課題
熱帯雨林産の希少植物に含まれる天然物を見出し、さらに得られた天然物に化学的手法を取り入れることで新たな生理活性創薬リード化合物の発見を目指すことが、本研究課題の目的である。当該年度には、米国立がん研究所(NCI)に未解析のまま保存されている強力な抗腫瘍作用を持つ熱帯林植物抽出液の中から、フクギ科、センダン科の2種について、含有天然物の単離精製を遂行した。約20種類の新規化合物を単離し、各種スペクトル解析によりその構造を決定した。同時に、既知化合物を含め全ての単離化合物については、生理活性評価を行い予備的な構造活性相関を検証した。前年度までに得られた新規化合物2種(メロテルペノイド、キノリンアルカロイド)については、創薬リードの可能性を見つけるべく不斉全合成に着手した。途中、合成ルートの見直し等を行い、収率の改善が必要な部分もあるが、着実に進行している。一方、難治性トリプルネガティブ乳がん選択的に細胞増殖抑制活性を示すノルエレモフィランの不斉全合成に成功し、選択性と活性の向上を目指した誘導体合成に着手している。また、これまでに見つけてきた有望な抗腫瘍活性を示す天然物誘導体(テルペン、カルコン)2種の標的タンパク質の同定にも成功し、現在検証を行っている。
2: おおむね順調に進展している
NCIから譲り受けたわずか数グラムの熱帯雨林産植物エキスから、着実に新規化合物を見つけてることに成功している。新規天然物の全合成には若干の遅れがあるが、全体としては概ね順調であると判断した。
天然物単離と構造決定は、順調に進んでいるためこのまま推進していく。合成に関しては、別ルートを考案済みであり、既に着手している。さらなる反応条件等の検討により、研究を進めていく。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件)
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