研究課題/領域番号 |
18H02587
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
異島 優 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 准教授 (00457590)
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研究分担者 |
石田 竜弘 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (50325271)
小田切 優樹 崇城大学, 薬学部, 特任教授 (80120145)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 膵臓がん / ドラッグデリバリーシステム / アルブミン / ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
血流の乏しい膵臓への抗がん剤の送達性は低い。そのため、膵臓がんの5年生存率は10%未満と、特に予後不良の高難治性がんであり、この問題の臨床現場での必要性は極めて高い。そこで本研究の目的を『膵臓がん治療のための効率的デリバリー担体の開発』とした。 この目的のため、ヒト血清アルブミン(HSA)を積極的に取り込むという膵臓がんの生存手段に着目した。本取り込み機構は、膵臓がんの難治度と正の相関があることが知られており、より難治性が高い膵臓がんへの効率的デリバリーが期待できる。 そこで、これまで我々が行ってきた15年以上にわたる多角的検証により蓄積したアルブミンDDSに関する前臨床データを集約させるべく、微小環境改善作用やがん細胞特異的アポトーシス作用等を惹起する一酸化窒素(NO)や様々な抗がん剤を搭載した多機能HSAナノ粒子キャリアを開発し、膵臓がんへの画期的治療薬としての臨床応用を目指すべく、本研究を立ち上げた。 その初年度の結果として、ヒト膵臓がん同所移植モデルにおいてがん組織に移行する最適なアルブミン粒子サイズは、10~30nmのものであることを突き止めた。さらにこのアルブミンナノ粒子は、血中では安定に滞留し、そのサイズを維持すること、さらに興味深いことにガン細胞に取り込まれた際には、容易に崩壊する性質を有することも明らかとなった。 このサイズでのアルブミンナノ粒子の作製もすでに再現性よく作製可能であることから、次年度以降のアルブミンナノ粒子の多機能性に繋がる有用な知見であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、2段階のプロセスからなっており、第1段階『膵臓がんでのEPR効果の増強のための最適なHSAナノ粒子 (Ultra-EPR enhancer)の構築』と第2段階『Ultra-EPR enhancerの更なる多機能化(Albumin-based multifunctional nanoparticlesの作製)』である。3年計画の初年度でこの第一段階をクリアしていることから、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、『Ultra-EPR enhancerの更なる多機能化(Albumin-based multifunctional nanoparticlesの作製)』に向け、パクリタキセルなどの抗がん剤の搭載、あるいは同時診断も可能になる蛍光物質の搭載も視野に入れ、当初の予定通りに検討を重ねていく。
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