研究課題
計画に従って以下の進捗状況にある。[1]モデルラットを用いた検討:研究初年度において作成構築に成功した慢性腎臓病モデルラットを用いた結果、予防群、治療群いずれにおいても腎組織で見られた高度な線維化の抑制(治療)効果が認められた。現在S6キナーゼリン酸化をendpointとして関連する分子の探索を継続している。[2]59例を対照として腎組織中のタクロリムスならびにその一次代謝物の蓄積量、CYP3A5遺伝子多型、タクロリムス血中濃度と急性拒絶反応または腎組織病変の進行との比較解析を進めた結果、ドナー由来移植腎組織中のタクロリムス濃度は腎に発言するCYP3A5遺伝子多型の影響に比して血中濃度により強く依存して変化すること、また局所腎組織中のタクロリムス濃度は直接的な急性拒絶反応ならびにタクロリムスによる腎毒性の予測因子とはならないことが示唆された。したがって、ドナー由来の腎組織中に蓄積するタクロリムスは、CYP3A5活性に加えて血中濃度の影響も強く受けることが判明した。[3]肝移植患者については、mTOR阻害薬の導入が移植4週目以降ということが定められていることから、結果の収集を継続している。一方、その過程で解析した結果により、薬物代謝を担うチトクロムP450(CYP)の再活性化を媒介する酵素PORにおける遺伝子多型に着目し、CYP3A5*1アレルを有するタクロリムスクリアランスの高い患者群について着目した結果、PORの活性を高める多型とされる*28を有する患者群では、野生型の患者群に比して有意にタクロリムスのクリアランスが高いことが見出され、腎移植治療に加えて肝移植治療においてもPOR*28の遺伝子多型検査の有用性を示すことができた。以上、令和元年度研究については当初計画した内容をおおむね達成することができたと考えられる。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書に記載した計画通りに進めることができていると判断している。
当初の計画通り、動物実験ではエベロリムス投与によるタクロリムス誘発腎間質の線維化抑制効果について再現性を図ることができ、予防と治療の療法の効果を得ることに成功した。mTORの直接の気質とされるS6キナーゼのリン酸化を指標として、関連する分子を探索し、もっとも病変の変化と関連性の深い分子の抽出ととの役割を解明するため、in vitroの実験を加える予定である。臨床研究では、肝移植後のエベロリムスの導入による腎機能の変化等をモニタリングし、令和元年度で得られた結果との比較(エベロリムス併用の有無)を中心に臨床的有用性(腎保護作用)について検討を進める。腎移植患者については、腎組織中のエベロリムス濃度の測定を進め、タクロリムス組織中濃度と比較することによって、組織中の薬物朸作用の有無等について検討を進める。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (18件) (うち国際共著 4件、 査読あり 18件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 5件、 招待講演 9件) 図書 (1件)
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