研究課題
本年度はがんの増殖に関与しているタンパク質や、がんの転移に関与しているタンパク質に対するsiRNAと、カチオン性高分子、アニオン性高分子を組み合わせてアニオン性のナノ微粒子を調製した。まず、マウスメラノーマ細胞株B16-F10を用いて、in vitroでの各タンパク質の抑制効果を評価した。その結果、nakedのsiRNAではタンパクの抑制は認められなかったのに対し、siRNAを内包したナノ微粒子では有意にタンパク質を抑制した。また、ナノ微粒子の細胞毒性をWST-8により評価した結果、controlと同様の細胞生存率を示し、細胞毒性も認められなかった。ルシフェラーゼを恒常発現させたB16-F10をマウスの尾静脈より投与し、メラノーマ肺転移モデルマウスを作製した。モデルマウスに5%糖液(control)、naked siRNA、siRNA内包ナノ微粒子、scramble siRNA(効果がないsiRNA)内包ナノ微粒子をそれぞれ投与し、肺転移の抑制効果をin vivo imagingで評価した。その結果、control、naked siRNA、scramble siRNAナノ微粒子を投与されたマウスでは肺での発光が観察されたのに対し、siRNA内包ナノ微粒子を投与されたマウスでは肺での発光がほとんど観察されなかった。摘出した肺においてもsiRNA内包ナノ微粒子を投与されたマウスではメラノーマ細胞が観察されなかったが、その他の群では多くのメラノーマ細胞が認められた。また、このナノ微粒子は血液毒性も示さなかった。以上のように、我々は本年度の研究によって、静脈内投与によりメラノーマの肺転移を抑制できるナノ微粒子製剤の開発に成功した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
Pharmaceutics
巻: 13 ページ: 126
10.3390/pharmaceutics13010126.
巻: 12 ページ: 540
10.3390/pharmaceutics12060540.
Cancer Sci.
巻: 111 ページ: 2440-2450
10.1111/cas.14498.