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2018 年度 実績報告書

TRICおよびMG23チャネルに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18H02597
研究機関京都大学

研究代表者

竹島 浩  京都大学, 薬学研究科, 教授 (70212024)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードCa2+放出 / 小胞体 / イオンチャネル
研究実績の概要

TRICチャンネル研究の概要:
心筋細胞では大量のTRIC-Aと微量のTRIC-Bチャネルが共発現しているが、両サブタイプの同時欠損により小胞体Ca2+ストアの機能破綻による胎生心不全と誘発される。TRIC-A欠損マウスには致死性がないため、心筋細胞に残存するTRIC-Bチャネルの機能亢進が推定された。TRIC-A欠損心臓より小胞体分画を調製し、人工脂質二重膜再構成系に供してTRIC-Bチャネル活性を測定したところ、複数チャネルの同時開口現象が頻繁に観察された。野生型心臓とTRIC-A欠損心臓ではTRIC-B発現量は同等であるため、TRIC-B同時開口の亢進は翻訳後修飾などの機構によると考察され、Ca2+放出時におけるTRIC-A欠損による小胞体内腔へのカウンターイオンの導入現象を補完するものと推定された(発表論文1)。一方、TRIC-B欠損マウスの骨形成不全症の解析時に、成長骨内の軟骨細胞にて自発的なCa2+振幅を偶然見出した。このCa2+振幅の形成にはTRIC-Bの関与は確認されなかったが、細胞膜のTRPM7チャネルの開口に起因することが明らかになった。軟骨細胞特異的TRPM7欠損マウスでは骨伸長が著しく抑制されるため、見出された軟骨細胞Ca2+振幅は骨形成に寄与することが判明した(発表論文2)。

MG23チャンネル研究の概要:
MG23は小胞体陽イオンチャネルと想定されるが、その欠損マウスは正常に成長・繁殖する。抗癌薬ドキソルビシンには重篤な心毒性が知られており、この副作用は心筋小胞体Ca2+ハンドリング異常を誘発することに起因すると推定されている。MG23欠損マウスにドキソルビシンを投与したところ、正常マウスで観察される心不全死が観察されなかった。このMG23欠損によるドキソルビシン抵抗性の詳細検討に向けて、ウイスコンシン大・心血管研究所チームと共同研究を締結して、変異マウスコロニーを米国側に構築した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

TRICチャネルの解析では着実に研究成果が得られており、国内外共同研究成果として論文発表も順調である。また、附帯した観察結果を発展させた軟骨細胞のTRPM7チャネルの研究成果も結実した。一方、MG23チャネルの解析では若干の進展遅延があるが、共同研究の準備状況はほぼ整っており、今後2年間での発展が期待される。従って、両プロジェクトを平行して推進する本研究課題としては、概ね順調に進展していると評価される。

今後の研究の推進方策

TRICチャネルの解析では、英国オックスフォード大の人工脂質二重膜再構成における単一チャネル計測グループと米国オハイオ州大のCa2+スパーク計測グループとの円滑な共同研究を推進し、研究代表者グループのKOマウスや遺伝子導入細胞の試料を供給することで、今後も良質な研究成果が期待される。一方、MG23チャネルの解析においても、昨年度にはKOマウスコロニーを米国ウイスコンシン大に構築し、本格的な心臓機能検討を実勢する状況が整い、本年度より意義深い成果が得られることが期待される。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Oxford大(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      Oxford大
  • [国際共同研究] Ohio州立大/Wisconsin大(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Ohio州立大/Wisconsin大
  • [雑誌論文] Cooperative gating between TRIC-B channels; an ER/SR mechanism to enhance counterion currents.2019

    • 著者名/発表者名
      O’Brien, F., Eberhardt, D., Witschas, K., El-Ajouz, S., Iida, T., Nishi, M., Takeshima, H., Sitsapesan, R. & Venturi, E.
    • 雑誌名

      J. Physiol.

      巻: 597 ページ: 2691-2705

    • DOI

      doi: 10.1113/JP277241.

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] TRPM7 channels mediate spontaneous Ca2+ fluctuations in growth plate chondrocytes that promote bone development.2019

    • 著者名/発表者名
      Qian, N., Ichimura, A., Takei, D., Sakaguchi, R., Kitani, A., Nagaoka, R., Tomizawa, M., Miyazaki, Y., Miyachi, T., Numata, T., Kakizawa, S., Nishi, M., Mori, Y. & Takeshima, H.
    • 雑誌名

      Sci. Signal.

      巻: in press ページ: xx

    • DOI

      doi: 10.1126/scisignal.aaw4847

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [備考] http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/biochem/

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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