研究課題
アドレノメデュリン(AM)の多彩な生理機能は、主としてAMの受容体活性調節タンパクRAMP2あるいはRAMP3によって制御されている。我々はこれまで、AM-RAMP2系による血管恒常性維持作用が、癌転移抑制に繋がることを明らかとした。本年度の研究ではRAMP3ノックアウトマウス(RAMP3-/-)を用いて、癌転移におけるAM-RAMP3系の意義を検討した。Pan02膵癌細胞を脾臓に移植し、肝転移の検討を行うと、RAMP3-/-では、肝転移が有意に抑制され、転移巣のポドプラニン(PDPN)発現は低下していた。そこで、PDPNがAM-RAMP3シグナル下に存在すると考え、RAMP3ノックダウン線維芽細胞を樹立した。その結果、RAMP3発現低下に伴って、PDPN発現低下が確認された。RAMP3-/-由来の癌関連線維芽細胞(CAF)では、PDPN発現に関わるp-Src、Cas活性が低下していた。さらに、RAMP3-/- CAFではαSMA発現とストレスファイバーの形成が抑制されており、腫瘍増殖因子の発現低下と抑制因子の発現亢進が認められ、悪性度が低下していると考えられた。RAMP3-/-CAFはPan02の増殖、遊走を抑制すると共に、RAMP3-/-CAF をPan02と混合してマウスに皮下移植すると、癌の増殖は抑制された。RAMP3-/-に対してAMを持続投与し、AM-RAMP2系を選択的に活性化したところ、癌転移はRAMP3-/-よりもさらに抑制された。以上から、RAMP3-/-ではPDPN陽性CAFが減少し、AM-RAMP2系の亢進を生じた結果、癌の悪性度が低下したと考えられた。一方、選択的なRAMP2の活性化とRAMP3の阻害が、癌転移抑制の新たな治療法になる可能性が考えられた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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