研究課題/領域番号 |
18H02604
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
丸山 徹 熊本大学, 薬学部, 教授 (90423657)
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研究分担者 |
渡邊 博志 熊本大学, 薬学部, 准教授 (70398220)
前田 仁志 熊本大学, 薬学部, 助教 (80791483)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | COデリバリーシステム / 横紋筋融解症 / 急性腎障害 / アルブミン創薬プラットフォーム / 災害医療 |
研究実績の概要 |
災害、事故や薬物により惹起される横紋筋融解症は重篤化すると急性腎障害(AKI)を起点として多臓器不全に至る致死性病態であり、災害多発国の本邦において、予後を改善できる画期的な薬剤の開発が切望されている。横紋筋融解症AKI時には、腎臓のヘムオキシゲナーセ-1が活性化し、それより派生する“生理活性ガスの一酸化炭素(CO)”がストレス応答防御機構として重要な役割を果たしていることから、本研究では医療機関や災害時等の多様な状況下でも使用可能な横紋筋融解症AKIの新規治療薬を開発すべく、“アルブミン創薬プラットフォーム” を基軸として、ヘモグロビンを担体とするCO放出ナノ製剤を作製し、さらに腎指向性ペプチドを搭載することで、“腎臓への効率的なCOデリバリーシステム”の創製を試みた後、その予防・治療効果及び安全性を非外傷性(1種類)及び外傷性(2種類)横紋筋融解症モデル動物を用いて検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SD系雄性ラットを予め24時間絶水し、その後に50%グリセリン溶液を両下肢に投与することでグリセリン誘発横紋筋融解症AKIモデルを作製した。次に、本病態モデルをHO-1誘導剤(ヘミン)及びHO-1阻害剤(SnPP)で前処理した群と比較することにより、腎障害に及ぼすHO-1/CO経路の保護的役割を確認したところ、予想通りにHO-1誘導剤で病態が改善し、阻害剤で悪化した。そこで、同じ病態モデル動物に対して、前年度作製した腎指向型COデリバリーシステムを投与し、病態改善効果を評価したところ、腎障害の抑制や腎機能の維持とそれに基づく生存率の回復が認められた。以上のことから、本研究課題は概ね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
外傷性横紋筋融解症モデルとして、出血性ショック併発横紋筋融解症AKIあるいはクラッシュ症候群誘発AKIモデル動物に対する治療効果を検討する。前者はグリセリンを両下肢へ投与し、1時間後から40%の血液を脱血することで作成する。脱血後に腎指向型COデリバリーシステムを投与して治療効果(生存率、腎機能、腎障害)を評価する。クラッシュ症候群に関しては、既報に従い、2kg負荷で作製したゴムバンドをラットの両下肢付け根に装着し、5時間下肢を圧迫した後に、ゴムバンドを解除することで作成する。解除後の1時間目に腎指向型COデリバリーシステムを投与して、病態改善効果を検証する。
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