研究課題
申請者らのこれまでの研究により、免疫反応やがん化に関する細胞内シグナル伝達におけるTRIMファミリーユビキチンリガーゼ群の重要性が明らかとなっている。特に細胞増殖のみならず、細胞分化過程を制御するシグナル伝達系やオートファジーの制御に、TRIMファミリーユビキチンリガーゼが関与していることが示され、最近では細胞内情報伝達系の多くの分野において注目されている。本申請においては、網羅的ノックダウンスクリーニングやユビキチン化に特化したプロテオミクス的手法により、TRIMファミリーユビキチンリガーゼを基軸とした細胞内ネットワークシステムを網羅的に解析している。さらに、TRIMファミリーのがん化および免疫系での機能を解明することで、臨床医学(自己免疫疾患、アレルギー疾患及びがん等)に貢献する知見(疾患特異的バイオマーカーや創薬シーズ等)を得ることを進めた。具体的には、皮膚がんにおけるTRIM29の関与を検討したところ、皮膚がんの悪性度のバイオマーカーになることが判明した。さらにTRIM29の結合タンパク質に関するプロテオミクス解析を遂行したところ、細胞骨格を制御するケラチン関連タンパク質が同定された。実際にTRIM29をノックダウンさせた皮膚がん細胞株を作製し、機能解析を行ったところ、細胞浸潤や細胞骨格の変化が観察された。以上より臨床医学の領域において、TRIM29が皮膚がんの病理学的検査および創薬のシーズとして役立つ可能性が示された。現在、他のTRIMタンパク質に関して、網羅的に細胞内の様々なシグナルネットワークシステムにおける役割を検討中である。
2: おおむね順調に進展している
初年度に計画した実験が遂行され、かつ興味深いいくつかの結果を得ているから。
概ね順調に計画が進んでいるので、予定通りに実験計画を進める予定である。
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