研究課題/領域番号 |
18H02611
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小松 雅明 新潟大学, 医歯学系, 客員教授 (90356254)
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研究分担者 |
大江 知之 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 准教授 (30624283)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | オートファジー / プローブ / LC3 / 低分子化合物 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、オートファジーを専門とする代表者と創薬化学の専門家である研究分担者がタッグを組み、オートファジーの次世代計測技術(モニターマウスと活性センサー)の開発を行う。これらツールを利用し、世界で初めてライフコース全般あるいは疾患発症過程におけるオートファジーの動態をin vivoで明らかにすることを目的とした。 1. オートファジーモニターマウス 多くのオートファジー選択的分解基質はLC3-Interacting Region (LIR)を有している。LIRを介した選択的分解基質とオートファゴソーム膜に局在するLC3あるいはGABARAPとの相互作用がオートファジーの選択性を担保する。このLIRを改良したHyD-LIR(TP)はオートファゴソームに局在し、リソソームおいて分解される。今年度はHyD-LIR(TP)に蛍光タンパク質Venusを融合させたHyD-LIR(TP)-Venusノックインマウスを作出した。 2. オートファジー活性センサー LC3結合タンパク質p62/SQSTM1はユビキチンリガーゼアダプタータンパク質であるKeap1と結合する。このp62-Keap1複合体はオートファジーにより分解されることから、Keap1の細胞内量はオートファジーの活性と逆相関する。今年度は、Keap1に特異的に結合する低分子化合物(活性センサー候補)の誘導体の作成を行うとともに、誘導体にフルオレセインなどの蛍光色素を導入した蛍光標識化合物を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HyD-LIR(TP)に蛍光タンパク質Venusを融合させたHyD-LIR(TP)-Venusノックインマウスはオートファジーモニターマウスとなることが期待される。しかし、予備実験においてHyD-LIR(TP)-Venusを過剰に発現させた場合、オートファジー選択的分解基質とLC3あるいはGABARAPとの相互作用を競合的に阻害することが分かった。重要なことに、オートファゴソーム形成には影響を与えない。すなわち、このマウスは選択的オートファジーを阻害するマウスとなり得る。さらに、解析を進める。
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今後の研究の推進方策 |
低分子化合物の誘導体の作成と誘導体にフルオレセインなどの蛍光色素を導入した蛍光標識化合物の作成を進め、細胞レベルでの化合物の薬効評価を進める。一方、HyD-LIR(TP)-Venusノックインマウスについては、オートファジーモニターマウス、選択的オートファジーを阻害するマウスの両面から注意深く解析を進める。
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