生物膜は、非対称に分布するリン脂質の二重層で構成される。例えば、細胞膜のホスファチジルセリン(PS)やホスファチジルエタノールアミンは内層に限局する。この定常状態におけるリン脂質の非対称的な分布は、リン脂質の脂質二重層間、オルガネラ間におけるダイナミックな“動き”の動的平衡状態として樹立・維持される。しかし、細胞が、何のために、そしてどのようにリン脂質の動的平衡を制御し、生物膜の非対称性を維持しているのか、そのメカニズムの大部分が不明である。本研究では、リン脂質フリッパーゼを中心としたPSの非対称分布の分子機構を明らかにした。
|