研究課題
ユビキチンは、プロテアソーム分解のみならず、多彩な細胞機能を制御する。近年、ユビキチン修飾では分岐鎖や混合鎖など複雑ユビキチン鎖生成が明らかになり、注目されている。我々は、ユビキチンのN末端を介する直鎖状ユビキチン鎖(M1鎖)を生成するLUBACユビキチンリガーゼ(E3)を見出し、LUBACが炎症や免疫制御に重要なNF-κBシグナル経路を活性化し、細胞死を抑制することを見出した。さらに、LUBACが他のE3と協調的に働くことで直鎖とLys63(M1/K63)の混合鎖など、複雑なユビキチン鎖を生成する可能性を見出している。本研究で我々は、LUBACに会合し、付加的に複雑なユビキチン鎖生成に関わるE3候補を探索し、2種の新規RING型E3(LUBAC-associated protein 1と2、各LAP1/LAP2と略)を見出し、その細胞機能を精査した。その結果、LAP1はLUBACによるNF-κB活性化を抑制するとともに、炎症性サイトカインTNF-αによって誘導されるアポトーシスに対しては促進的で、ネクロプトーシスは抑制することが明らかになった。この過程では、LAP1が先行して付加するユビキチン鎖がシードとなって、これにM1鎖が付加されることで複雑なユビキチン鎖が生成される可能性があることを見出した。一方、LAP2はLUBACサブユニットにK63鎖を付加して、NF-κBシグナルをさらに亢進させることを突き止めた。LAP2の完全KOマウスは胎生致死であるが、E3活性を喪失させたLAP2のノックインマウスは誕生することから、LAP2はE3活性非依存的に発生段階で重要な役割を果たすことを見出している。これらの結果から、LUBACとLAP1、LAP2とのE3間相互作用は、複雑なユビキチン鎖生成を介して炎症や細胞死を制御しており、炎症の遷延、細胞死を伴う各種疾患に関わる可能性がある。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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