研究課題
今年度は、HSF1-MED12複合体による転写開始前複合体(PIC)形成と転写の調節機構、そしてそれがプロテオスタシス容量に及ぼす効果を明らかにした。① MED12のHSP70転写誘導における効果:メディエーターは、コアメディエーターとキナーゼモジュル(CKM)で構成され、CKMはCDK8、CCNC、MED12、MED13から成る。マウスMEF細胞においてそれら4つの遺伝子ノックダウン(KD)は全て熱ストレス誘導性HSP70 mRNA発現を抑制した。MED12に絞って解析したところ、MED12 KDは主要なHSP群のタンパク質毒性誘導性HSP70 mRNA発現を抑制した。② MED12-CDK8のHSP70プロモーターへのリクルートの解析:HSF1はMED12と相互作用すること、特にMED12の一部領域(アミノ酸1401-1860)へ結合することを示した。次に、ChIPアッセイにより、HSF1、MED12、CDK8、そしてコアメディエーターサブユニットMED1が熱ストレス誘導性にHSP70プロモーターへ集積することが分かった。HSF1 KDによってMED12とCDK8が集積しないこと、そしてMED12 KDによってCDK8が集積しないことも明らかとなった。③ MED12-CDK8が転写誘導する機構の解明:驚いたことにCDK8 KDは転写活性化能と関連するHSF1-S326リン酸化を低下させた。またCDK8パラログであるCDK19のKDでも同様であった。さらに、MED12 KDでも同じ結果であった。つまり、CDK8/19がHSF1-S326リン酸化を介して転写を誘導することが示唆された。④ HSF1-MED12複合体のプロテオスタシスや与える効果:CDK8/19阻害剤で処理された細胞は、熱ストレス条件下での細胞生存が低下し、プロテオスタシス容量の回復が遅延することが示された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://ds22.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~seika2/HSF120200420.html