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2019 年度 実績報告書

I型インターフェロンが誘導するB細胞機能の二面性と自己免疫疾患病態の理解

研究課題

研究課題/領域番号 18H02626
研究機関九州大学

研究代表者

馬場 義裕  九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (20415269)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードIL-10 / 自己免疫疾患 / 制御性B細胞
研究実績の概要

自己免疫疾患において、B細胞は自己抗体や炎症性サイトカイン産生により病態を 悪化させることが広く知られている。興味深いことに、全てのB細胞が免疫反応を正に制御 するわけではなく、負に制御する、つまり、自己免疫病を抑制するB細胞(制御性B細胞) が同定され、B細胞の新たな機能として非常に注目されている。特に、抗炎症性サイトカイ ンIL-10を産生するB細胞は、様々な自己免疫病を抑制することが示されているが、その分化機序や病態への関与は不明な点が多い。しかし、我々は、「プラズマブラスト」と呼ば れるB細胞サブセットがIL-10産生B細胞の実体であること、ならびに、I型インターフェロンがヒトIL-10産生制御性プラズマブラストの誘導に必須であることを発見している。そこで、本研究では、I型インターフェロンで誘導される自己免疫を増悪化させる“炎症性プラズマブラスト”と抑制する“制御性プラズマブラスト”の性状を解明し、そのバランス変化が疾患発症および増悪・寛解の指標となる可能性を検討することにより、I型インターフェロンによる自己免疫疾患病態制御の仕組みを理解することを到達目標とする。
健常人末梢血由来B細胞をin vitroの刺激で、IL-10産生CD27low CD38+プラズマブラストを誘導することに成功しており、本サブセットの細胞表面マーカー、B細胞レセプターのアイソタイプ、抗体産生などの性状を詳細に解析した。さらに、培養で増幅させたIL-10産生B細胞の抑制機能の確認した。マウスB細胞において、I型インターフェロンと様々なTLRアゴニスト及びサイトカインの組み合わせによって、プラズマ細胞分化能に違いがあることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度は、ヒト末梢血由来B細胞をin vitroの刺激(IL-2, IL-6, CpG, I型インターフェロン)でプラズマブラストが誘導され、そのなかのCD27low CD38+分画が特異的にIL-10を産生することから、本サブセットの細胞表面マーカー、B細胞レセプターのアイソタイプ、抗体産生などの性状を詳細に解析した。培養で増幅させたIL-10産生B細胞がヒト末梢血由来T細胞の増殖を有意に抑制することを見出した。抗IL-10抗体で中和すると、その抑制効果がキャンセルされることから、この抑制作用がIL-10依存的であることも判明した。マウスB細胞において、I型インターフェロンと様々なTLRアゴニスト及びサイトカインの組み合わせによって、I型インターフェロンが協調して働くプラズマ細胞分化シグナルの存在を示唆する知見が得られている。

今後の研究の推進方策

独自に誘導したIL-10産生制御性B細胞に特異的に発現する遺伝子の同定をRNA-seqを用いて行う。ヒト末梢血B細胞は様々な細胞サブセットが混在している。CD27-CD38lowナイーブ未熟B細胞が効率的にIL-10産生プラズマブラストに分化することを見出しているが、CD27-CD38lowナイーブ未熟B細胞の全てがIL-10産生B細胞に分化しないことから、ヘテロな集団であると考えられる。そこで、細胞表面マーカーの解析と単離培養により、純粋な真のIL-10産生制御性B細胞の前駆細胞の同定を試みる。前駆細胞を絞り込むことが出来れば、網羅的遺伝子解析を行い、その性状を明らかにする。I型インターフェロン誘導性プラズマブラストのマウス自己免疫病態抑制の解析をB細胞特異的I型インターフェロン受容体欠損マウスを利用して、遂行する予定である。まず、自己免疫性脳脊髄炎のモデルで検証し、その後、SLEや糖尿病モデルでも検討する予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 4件)

  • [雑誌論文] GPR40 activation initiates store-operated Ca(2+) entry and potentiates2019

    • 著者名/発表者名
      Usui R, Yabe D, Fauzi M, Goto H, Botagarova A, Tokumoto S, Tatsuoka H, Tahara
    • 雑誌名

      Sci. Rep.

      巻: 9 ページ: 15562

    • DOI

      10.1038/s41598-019-52048-1.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The COMMD3/8 complex determines GRK6 specificity for2019

    • 著者名/発表者名
      Nakai A, Fujimoto J, Miyata H, Stumm R, Narazaki M, Schulz S, Baba Y, Kumanogoh A, Suzuki K.
    • 雑誌名

      J. Exp. Med.

      巻: 216 ページ: 1630-1647

    • DOI

      10.1084/jem.20181494.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] アレルギー発症と制御におけるB細胞の役割2019

    • 著者名/発表者名
      齋藤雄一, 馬場義裕
    • 雑誌名

      アレルギー

      巻: 68 ページ: 661-667

    • DOI

      10.15036/arerugi.68.661.

  • [学会発表] B細胞はどのようにして免疫応答を制御するのか2019

    • 著者名/発表者名
      馬場義裕
    • 学会等名
      第93回染色体工学研究センターセミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] B細胞の免疫応答制御機構2019

    • 著者名/発表者名
      馬場義裕
    • 学会等名
      がん免疫セミナー(千葉)
    • 招待講演
  • [学会発表] B細胞の免疫応答制御機構2019

    • 著者名/発表者名
      馬場義裕
    • 学会等名
      がん免疫セミナー(東京)
    • 招待講演
  • [学会発表] 免疫反応を抑制するB細胞2019

    • 著者名/発表者名
      馬場義裕
    • 学会等名
      第18回レジェンドセミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] Role of Fcrl5 in B cell immune response and peripheral tolerance2019

    • 著者名/発表者名
      Ono C, Kochi Y, Tanaka S, Yamamoto K, Baba Y.
    • 学会等名
      第48回日本免疫学会学術集会
  • [学会発表] Ten-eleven translocaion (Tet) in B cells prevent autoimmunity2019

    • 著者名/発表者名
      Tanaka S, Ise W, Kurosaki T, Baba Y.
    • 学会等名
      第48回日本免疫学会学術集会
  • [学会発表] Development of IL-17A+ Vγ6γδ T cells in mouse thymus2019

    • 著者名/発表者名
      Hatano S, Tun X, Matsumoto M, Baba Y, Yoshikai Y.
    • 学会等名
      第48回日本免疫学会学術集会

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公開日: 2021-01-27  

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