研究課題
本研究では、スフィンゴ糖脂質糖鎖に固有のミクロドメイン(脂質ラフト)の動態と機能を検討し、その会合分子との複合体形成による膜環境の制御機構の解明を目指した。そのために脂質ドメインの構成分子の化学組成解析、特に脂質、糖脂質の分子種に関する質量分析、及び糖脂質-認識分子複合体形成の制御機構を検討した。そのために、癌形質増強ガングリオシド、GD3、GD2等と会合する分子群を、enzyme-mediated activation of radical sources/mass spectrometry (EMAR/MS) 法により同定し、その重複性と固有性を明らかにした。同時に、細胞膜の脂質ラフトと細胞外分泌顆粒(EV)との物理・化学的性状と機能連関を明らかにするために、両者に含まれるガングリオシドの分子全体の化学構造の比較検討と、各々のEVに含まれるタンパク質分子群のプロテオミクス的解析を行った。それらの結果より、細胞側の脂質ラフトの組成が分泌EVの組成に強く反映されることから、EVの分泌・取込における脂質ラフトの重要性がより明らかになった。脂質ラフトにおけるスフィンゴ糖脂質と会合分子との複合体形成による細胞シグナル調節機構と、EVによる微小環境の制御機能の検討のために、各糖鎖を発現する細胞からのEVを、糖鎖非発現細胞に添加した時の細胞形質の変化と、細胞内のシグナル分子の挙動をimmunoblotting 等により検討した。その結果、癌関連糖脂質発現細胞由来のEVが、種々の癌悪性形質を増強すると同時に、いくつかの増殖・運動性関連シグナル分子の活性化を誘導する現象が観察された。これらの作用は、正常細胞の培養液に添加した時により顕著に見られることが示された。スフィンゴ糖脂質の変異による様々な病態における細胞膜脂質ラフトとEV上の糖脂質と膜分子との協働作用の重要性が明らかになった。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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