研究分担者 |
萩原 弘一 自治医科大学, 医学部, 教授 (00240705)
遠藤 俊輔 自治医科大学, 医学部, 教授 (10245037)
佐久間 裕司 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (10364514)
吉本 多一郎 自治医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20634166)
松原 大祐 自治医科大学, 医学部, 准教授 (80415554)
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研究実績の概要 |
肺癌症例におけるドライバー変異,分化形質と臨床病理学的因子,予後との関係を明らかにするため,以下の検討を行った. 1. 肺腺癌100症例につき,次世代シーケンサによるEGFR, KRAS, ALK, RET, BRAF, HER2などドライバー変異のhigh-throughput 解析を行った.その結果,EGFR変異~50%, KRAS変異~10%,ALK, RET, BRAF, HER2変異はいずれも1~2%とこれまでの報告とほぼ同様の変異頻度であった. 2. 予後の判明している肺腺癌240症例について,BRG1, BRM, HNF4A (hepatocyte nuclear factor4-α), TFF1(trefoil factor-1)の発現を免疫組織学的に解析した.BRG1, BRMの完全消失した症例はそれぞれ4例認められた.HNF4A, TFF-1の陽性例は~10%程度の肺腺癌にみられ,EGFR変異とは逆相関し,MUC5ACの発現とは正の相関,TTF-1 (thyroid transcription factor-1)の発現とは逆相関の関係を示した.TFF-1陽性症例は,進行癌 (Stage III-IV)において有意に予後不良であった.TFF-1陽性の肺腺癌細胞A549においてTFF-1の発現をノックダウンすると,細胞増殖,ソフトアガー上でのコロニー形成が抑制され,アポトーシスの増加も認められた. 3. 既報のnon-TRU typeの形態を示す肺腺癌43症例について,HNF family (HNF4-α, FOXA1, FOXA2,etc)の発現を解析し,組織形態との関係,TTF-1, MUC5ACなどの消化器上皮形質との関係を解析した.HNF4-αを初めとする内胚葉分化に関連した転写因子が,消化器上皮形質と一定の相関を示すことを明らかにした.
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