研究課題
基盤研究(B)
アクチン結合分子Girdinは神経芽細胞やがん細胞の遊走を促進する分子である。本研究ではGirdinがアミノ酸輸送体CD98の局在を制御して、代謝・増殖の制御因子であるmTORC1の活性を抑制すること、紫外線照射に対する感受性を上昇させる機能を有することを示した。すなわち、Girdinの機能はがん細胞の(1)遊走、(2)代謝抑制、(3)紫外線照射(放射線療法)に対する感受性等の多様な現象に関わっている可能性がある。
実験病理学
Girdin分子は以前の研究により増殖・遊走ダイコトミーの制御因子の一つであるとされていたが、今回の研究により同分子の機能多様性が明らかとなった。生体内のがん細胞も浸潤期には分裂しないことが提唱されており(stop or go hypothesis)、抗がん剤に対する抵抗性の原因とされている。今後、Girdinの多様な制御をコントロールできる手法が解明されれば、新規治療法の開発の端緒となる可能性がある。