本研究では消化器系臓器の上皮幹細胞および大腸がん幹細胞が外部環境に影響されることなくそのアイデンティティを維持するメカニズムの解明を目的として、生体由来の上皮幹細胞培養系(スフェロイド培養)を用いた研究を行なった。正常上皮幹細胞では、転写因子の発現とオープンクロマチン領域の近縁性が器官発生の過程をほぼ再現しており、特に肝臓と膵臓の幹細胞に高い近縁性が認められた。また、悪性度の高いWnt低活性型の大腸がん細胞がWntシグナルをバイパスして細胞増殖や幹細胞性を維持する分子機構を探索した結果、MYCの安定的発現がその一部であることが示唆された。
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