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2019 年度 実績報告書

精巣の精子幹細胞の維持・配偶子産生に関わる新たな分子メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 18H02643
研究機関北里大学

研究代表者

村雲 芳樹  北里大学, 医学部, 教授 (40324438)

研究分担者 櫻井 靖高  北里大学, 医学部, 助教 (50733101)
一戸 昌明  北里大学, 医学部, 講師 (80365163)
吉田 松生  基礎生物学研究所, 生殖細胞研究部門, 教授 (60294138)
市原 正智  中部大学, 生命健康科学部, 教授 (00314013)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードREV7 / 生殖細胞 / 遺伝子発現 / プロモーター解析 / 結合蛋白
研究実績の概要

2019年度はRev7欠失による生殖細胞内での遺伝子発現の変化の解析、ヒトREV7遺伝子プロモーター領域の解析、マウス生殖細胞におけるREV7高発現の影響の解析、ヒト胚細胞腫瘍細胞株を用いたREV7結合蛋白の同定を進めた。
1.Rev7欠失による生殖細胞内での遺伝子発現変化を調べるために、野生型マウスの精巣の凍結切片からレーザーマイクロダイゼクションを用いて生殖細胞のみを取り出し、RNA抽出を行った。しかし、生殖細胞の取り出しに時間がかかるためRNAが分解してしまうことが判明し、発現解析まで行うことができなかった。
2.ヒトREV7遺伝子プロモーター領域の解析では、REV7遺伝子転写開始点を決定し、そこから約3Kb上流までのゲノムDNAをルシフェラーゼベクターに導入して、転写活性の解析を行った。その結果、転写活性化領域を2カ所見つけ、その内1カ所で、転写活性に大きく影響する転写因子結合領域を明らかにした。現在、転写因子の候補を絞って解析中である。
3.マウス生殖細胞におけるREV7高発現の影響を見るために、CAGプロモーターによりRev7を発現するトランスジェニックマウスを樹立した。そして、老齢マウスでの精子形成能を検討したが、検討した範囲では野生型マウスとの間に精子形成能に有意な差は認められなかった。
4.ヒト胚細胞腫瘍細胞株を用いたREV7結合蛋白の同定については、BioID法によりREV7に結合する蛋白をプルダウンし、マススペクトロメトリーにより網羅的に同定を試みた。その結果、多くの蛋白が同定され、現在、生殖細胞分化に関わると思われる分子の候補を絞り、結合を確認する段階である。
その他、ヒトの精子形成不全症患者の精巣生検検体を用いて、REV7発現と男性不妊症との関連の解析を行うため、倫理委員会申請を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在までに、成体になってからのRev7欠失により生殖細胞に起こる形態学的変化について詳細に解析を進め、すでにある程度の解析が終了している。しかし、そのメカニズムの解析については、今のところまだデータが出ていない。2019年度はマイクロアレイを用いて、Rev7欠失による遺伝子変化を明らかにし、また、免疫染色などにより、ヒストンメチル化などのエピゲノム制御への影響を解析する予定であった。しかし、マイクロアレイの解析方法の検討段階で多くの時間がかかり、またRNAのqualityに問題が生じたため解析が進まなかった。今後の解析方法の検討が必要である。ヒトREV7遺伝子プロモーター領域の解析は、転写活性化領域の同定まで進んでおり、順調に研究は進行していると考えている。REV7結合蛋白の同定についても、ヒト胚細胞腫瘍細胞株を用いて解析を進めつつあり、ほぼ順調に進みつつあると思われる。ヒトの検体を用いたREV7発現の精子形成への影響の解析については、倫理委員会申請を終了し、予定通り進行している。

今後の研究の推進方策

今後の研究推進の方策として、Rev7欠失から生殖細胞脱落に至るまでのメカニズムの解明を主に進めていく。そして、生殖細胞におけるREV7発現の減少がヒトの男性不妊症の原因となっている可能性についても追及する。
1.REV7はエピゲノム制御への関与が示唆されているため、tamoxifen投与後の精巣を用いて、生殖細胞の生存に関係するヒストンメチル化への影響を解析する。H3K4me2、H3K9me2、H3K27me3について、免疫染色とWestern blottingによりRev7欠失による影響を解析する。
2.Rev7欠失後の生殖細胞における遺伝子発現の変化を解析する。tamoxifen投与1週間後の精巣からRNAを抽出して、cDNAマイクロアレイにより遺伝子発現プロファイリングを行い、Rev7欠失により早期に発現が変化する遺伝子を同定する。その遺伝子産物について、精巣の組織切片を用いた免疫染色により精祖細胞、精母細胞における蛋白発現の変化について解析し、Rev7欠失から生殖細胞脱落に至るメカニズムを解明する。
3.臓器特異的、細胞特異的なREV7発現の機序を解明するために、前年度に引き続きルシフェラーゼアッセイによるヒトREV7遺伝子プロモーター解析を行い、REV7発現をコントロールする転写因子を同定する。
4.前年度に引き続き、ヒト胚細胞腫瘍細胞株を用いてREV7結合蛋白を同定する。生殖細胞の生存に重要と思われる分子を見つけ、REV7との相互作用について解析する。
5.精子形成不全症の患者の精巣生検検体を用いて、REV7の発現を免疫組織化学的に検討することにより、REV7の発現量と精子形成能との関連を統計学的に解析する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 生殖細胞維持および精子形成におけるDNA 損傷応答蛋白REV7 の重要性2019

    • 著者名/発表者名
      磯貝奈々子、櫻井靖高、加藤琢哉、一戸昌明、沼田賀子、梅沢敦子、村雲芳樹
    • 学会等名
      第108回日本病理学会総会
  • [学会発表] 生殖細胞維持および精子形成におけるDNA損傷応答蛋白REV7の重要性2019

    • 著者名/発表者名
      磯貝 奈々子、櫻井 靖高、加藤 琢哉、梅沢 敦子、沼田 賀子、一戸 昌明、吉田 松生、村雲 芳樹
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会

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公開日: 2021-01-27  

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