研究課題/領域番号 |
18H02644
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
小内 伸幸 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50323605)
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研究分担者 |
和田 俊樹 (矢部俊樹) 金沢医科大学, 医学部, 講師 (10451634)
松葉 慎太郎 金沢医科大学, 医学部, 助教 (40367462)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 胎生期 / 樹状細胞 / 前駆細胞 |
研究実績の概要 |
母体内の胎児は母体由来のアロ抗原や病原性微生物といった様々な免疫刺激に暴露される危険性がある。しかし、胎生期における病原性微生物を認識する免疫反応、特に樹状細胞(dendritic cell: DC)についてはその存在、活性化機構や免疫応答誘導機構は明らかになっていない。本研究では胎生期樹状細胞について、その前駆細胞の分化制御機構、及び胎生期樹状細胞の機能、炎症における役割について解明することを目的とした。胎仔肝臓から調整したCD11c+ DCはCD11c+PDCA-1-の従来型DC(conventional dendritic cell: cDC)とCD11c+PDCA-1-形質細胞様DC(plasmacytoid dendritic cell: pDC)から形成されていた。成体期のリンパ組織のcDCはCD8αを発現するcDC1とCD11bを発現するcDC2に大別される。そこで、胎仔肝臓由来のcDCにおけるCD8αとCD11bの発現を検討したところ、ほとんどのcDCがCD11bを発現し、CD8αを発現するcDC1は存在しなかった。次に胎仔肝臓由来のcDCをBALB/cマウス由来のT細胞と共培養し、混合リンパ球反応実験を行ったところ、CD8+T細胞よりもCD4+T細胞への強い増殖誘導能を有していた。また胎仔肝臓由来cDCをCpGやPolyI:Cで刺激を行うとCD8+T細胞の増殖誘導能が増強し、CD4+T細胞への増殖誘導能が低下した。次に胎仔肝臓由来cDCをLPS、CpGとpolyI:Cで刺激後、様々な炎症性サイトカインmRNA発現を検討した。この結果、胎仔肝臓由来cDC はLPS、CpG、PloyI:C刺激後、抑制性サイトカインであるTGF-βとIL-10のmRNA発現レベルが成体期cDCよりも有意に高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胎生期の樹状細胞の細胞表面抗原発現、樹状細胞としての抗原提示能力、サイトカイン産生能力の評価は終了し、我々が発見した胎生期樹状細胞は樹状細胞の定義に当てはまると結論出来るから。
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今後の研究の推進方策 |
胎生期の胎仔肝臓中に存在する樹状細胞前駆細胞様細胞の分化能、機能解析を積極的に行う予定である。
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