研究実績の概要 |
Cbfb f/f: PLZF-Creマウスにおける 1)肺ILC2の分化微小環境異常、2)COPD様病変の研究が本年度の課題である。 肺ILC2の分化微小環境異常に関しては、どの細胞のCbfb欠損によりILC2が減少するのか調べた。成獣マウスと新生児マウスにROSA26-Cre-ERT2マウスを用いてCbfb欠損を誘導したが、新生児マウスにのみILC2の減少を認めた。よって、肺の発達異常でILC2分化微小環境異常が生じる可能性が示唆された。新生児期のILC2減少は、全肺上皮細胞におけるCbfb欠損(Shh-Cre)で誘導されたが、内皮細胞特異的Cre(Cdh5-Cre-ERT2)、肺間質細胞特異的Cre(Col1a2-Cre-ERT2)、肺周細胞特異的Cre(Foxd1-Cre)、気管上皮特異的Cre(CC10-Cre-ERT2)、肺胞上皮特異的Cre(SFTPC-Cre-ERT2)では誘導されなかった。さらに、上皮細胞と間質細胞の両方にCbfbの欠損を誘導したが、上皮細胞のCbfb欠損以上のILC2減少効果は得られなかった。よって、全肺上皮細胞におけるCbfbの欠損がILC2減少誘導に必須である可能性が示唆された。上皮細胞のトランスクリプトーム解析の結果、いくつかの興味深い分子のmRNA発現が低下していることが分かったため、その分子の機能をさらに検証している。 COPD様病変は、PLZF-Creでのみ観察され、それ以外のCre, Cre-ERT2によるCbfb欠損では誘導されなかった。Cbfbf/f: PLZF-Creマウスでも、足の変形により食餌接種が極端に不十分なマウスにのみCOPD様病変を認めた。極端な食餌制限により、COPD様病変が生じることが報告されており、その可能性が示唆された。
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