研究課題
侵襲性カンジダ症患者の死亡者数は世界で40万人/年に達し、国内では約1万人と推定されている。致死率は20-50%と高く、現在も増加中である。原因菌種は過去にカンジダ・アルビカンスが90%以上と他の菌種を圧倒していたが、現在は約50%まで低下している。近年、特に台頭してきた菌種がカンジダ・グラブラータである。カンジダ・グラブラータは病原真菌の中で遺伝子操作が最も簡便であり病原真菌の中で分子生物学的な扱いが最も簡便である。これを利用し、我々は本菌でタンパク質をコードすることが予測されている5200の全遺伝子について遺伝子改変を体系的に構築した組み換え体コレクションを完成させた。カンジダの感染経路は、腸管粘膜に定着し、腸管粘膜の突破、血流浸入し全身感染すると考えられている。本研究では、コレクションの中から生育非必須遺伝子に対する欠損株を用いて各播種感染プロセスに必要な遺伝子を独自に開発した次世代シーケンサーを用いた占有率測定法によって解析した。コレクション組換え体を混合、経口接種し、臓器から菌体を回収した。事前に免疫抑制剤を投与することによって易感染状態にすることにより経口接種したカンジダ・グラブラータが腸管に定着し、さらに全身侵襲感染を起こした。適時マウスを開腹し、胃、大腸、血液、肝臓、腎臓を摘出し粉砕し、寒天培地に塗抹、コロニーを改修後、ゲノムDNAを抽出した。抽出したゲノムDNAを破砕装置(コバリス)で断片化し、次世代シークエンサーHiseqを用いてシークエンス解析を行なった。得られたシークエンスリードをマッピングすることにより接種後に回収された組換え体の占有率解析(個体群解析)を行なった。現在、得られたデータを解析し、カンジダ・グラブラータの感染過程に置いて、腸管粘膜への定着、腸管粘膜の突破、血流感染、各プロセスに必要な機能遺伝子の特定を進めている。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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