研究課題
慢性持続感染を呈するHIV感染症において、ウイルス複製の持続的制御に結びつく機序の解明は重要である。HIV複製制御の維持には、制御下で潜在的複製能を有するウイルス潜伏細胞の制御・排除が必要である。我々はこれまでサルエイズモデルにおいて、ワクチンによる細胞傷害性T細胞(CTL)誘導に基づきウイルス複製制御に至る系を構築し、複製能を有するウイルス潜伏細胞のプロウイルスゲノム変異の特徴を明らかにしてきた。本研究はこの系を活用し、ウイルス複製制御サル群からリンパ節・直腸生検および解剖によって各種組織を採取し、潜在的複製能を有するウイルス潜伏細胞の分布・動態を明らかにすることとした。主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC-I)遺伝子 Mamu-A*065:01を有するアカゲサルを用い、Mamu-A*065:01拘束性エピトープ(Gag241-249)特異的CTLの解析を推進した。2018年度にワクチン接種後のSIVmac239接種実験で獲得したSIV複製制御サルを用い、前年度に引き続き2020年度には、経時的に血液サンプル、リンパ節・直腸生検サンプルを収集して、解析を推進した。Gag241-249エピトープ特異的CTLを認識するテトラマーと変異Gag241-249.244Eエピトープ特異的CTLを認識するテトラマーを用いたCTL反応の解析では、変異エピトープ特異的CTL頻度の増加が、潜在的複製能を有するSIVの検出限界以下レベルの複製を反映すると考えられる結果が得られた。生検及び解剖で得られたサンプルを用いた解析により、潜在的複製能を有するSIVの検出限界以下レベルの複製の進展に伴って、表在リンパ節におけるGag241-249エピトープ特異的CTL反応が増加することが示された。これらの研究者成果は、新たに潜在的複製能を有するHIV/SIVの潜伏感染動態を示すものとして重要である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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