研究課題
本年度では、1. WTマウスを対照として恒常的cDCs特異的消失マウス、一過性CD103+cDCs特異的消失マウス、IL-22RA2欠損マウスにおける尋常性乾癬の病勢、病態、炎症/免疫応答を比較検討した。結果を以下に示す。1-1) IMQ塗布前ではIl22ra2 の発現は耳介皮膚と所属リンパ節において認められた。一方、IMQ塗布後ではIl22ra2 の発現は塗布前と比較して耳介皮膚と所属リンパ節で減少した。1-2) WTマウスではIMQ塗布後、臨床スコアが増加した。一方、WTマウスと比較して、恒常的cDCs特異的消失マウスと一過性CD103+cDCs特異的消失マウスでは臨床スコアの減弱が認められたが、IL-22RA2欠損マウスでは臨床スコアの亢進が認められた。1-3) IMQ塗布WTマウスでは、皮膚炎症、皮膚病変部角化細胞増殖、好中球/T細胞/gdT細胞/cDCs/pDCsの皮膚浸潤が認められた。一方、IMQ塗布IL-22RA2欠損マウスではIMQ塗布WTマウスと比較して、これらの皮膚炎症病変の増悪が認められた。1-4) IMQ塗布WTマウスの所属リンパ節ではサイトカイン/抗菌ペプチド/角化細胞最終分化マーカーの遺伝子発現が認められ、IMQ塗布IL-22RA2欠損マウスではこれらの発現の更なる亢進が認められた。1-5)未処置WTマウスと比較して、IMQ塗布後WTマウスの脾臓と所属リンパ節ではCD4+T細胞サブセット、IFN-g/IL-17産生gdT細胞、3型ILCsの増加が認められた。一方、IMQ塗布IL-22RA2欠損マウスではIMQ塗布WTマウスと比較して、これらの更なる増加が認められた。従って、自己免疫性皮膚炎の病態形成におけるCD103+cDCsのIL-22RA2を介した表皮角化細胞機能に対する制御機構およびその制御に基づく免疫応答調節が解明された。
1: 当初の計画以上に進展している
研究計画書に提案した年度計画以上に進捗している。
次年度では2.アレルギー喘息の病態形成におけるCD103+cDCsのIL-22RA2を介した呼吸器上皮細胞機能に対する制御機構およびその制御に基づく免疫応答調節について、WTマウスを対照として恒常的cDCs特異的消失マウス、一過性CD103+cDCs特異的消失マウス、IL-22RA2欠損マウスにおけるアレルギー喘息の病勢、病態、炎症/免疫応答を比較検討する。2-1) IL-22RA2遺伝子発現解析:肺組織と所属リンパ節でのIL-22とIL-22RA2の遺伝子発現を定量的PCR法により解析する。2-2) 気管支肺胞洗浄液解析:気管支肺胞洗浄液中の浸潤白血球(好酸球、好中球、T細胞、B細胞、マクロファージ、cDCs、pDCs)の存在比率と細胞数についてフローサイトメトリー法により解析する。2-3) 病理組織(気道リモデリング)解析:肺組織の病理組織解析として、H&E染色による気道炎症や白血球浸潤、PAS染色による上皮組織肥厚ならびに分泌細胞(杯細胞)の過形成および粘液貯留を評価する。2-4) 気道抵抗性評価:メタコリン吸入に対する肺気道反応性について、侵襲的メカニカルベンチレーター(flexiVent)を用いて解析する。2-5) サイトカイン/ケモカイン発現解析:肺組織のサイトカイン、ケモカインの発現について定量的PCR法により解析する。2-6) OVA特異的抗体とサイトカインの産生解析:血清と気管支肺胞洗浄液におけるOVA特異的抗体とサイトカインの産生をELISA法により解析する。2-7) OVA特異的T細胞応答解析:OVAを抗原としたWT cDCsとの共培養による所属リンパ節CD4+T細胞の増殖能を計測すると同時にそのサイトカイン産生量をELISA法により解析する。また、フローサイトメトリー法にてTH2細胞の生成を解析する。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Front. Immunol.
巻: 9 ページ: 1418
10.3389/fimmu.2018.01418
http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/meneki/