研究課題
現在、腸内細菌を介した生体応答の制御や疾患との関連が注目されている。研究代表者はこれまでに、アルカリゲネスやマルトフィリアが小腸パイエル板の樹状細胞や大腸組織のマクロファージに共生していることを明らかにし「組織内共生」という新概念を提唱してきた。本年度は共生メカニズムに関して、ア ルカリゲネスの主要な菌体成分であるリポポリサッカライド(LPS)がユニークな構造を有し、TLR4に対する弱いアゴニスト活性をもつことを明らかにした。このため、アルカリゲネスLPSは炎症の惹起につながるような一酸化窒素の誘導能が低く、パイエル板組織内で樹状細胞に補足されても細胞内で排除されることなく、共生関係を構築できると考えられる。また、アルカリゲネスを取り込んだ樹状細胞では、ミトコンドリアの基礎呼吸量が上昇していることが明らかとなり、ミトコンドリア活性と関連するアポトーシス細胞死もほとんど誘導されていなかったことから、アルカリゲネスが樹状細胞のエネルギー代謝や細胞機能を巧みに制御していると考えられる。さらに、類似したエネルギー代謝変化がマルトフィリアを取り込んだマクロファージにおいても観察されたことから、組織内共生における共生メカニズムとそれに連動する免疫制御の理解において、エネルギー代謝の制御が鍵になると考えられる。また、アルカリゲネスのLPSの免疫学的ユニーク性に着目し、LPSならびにその活性中心であるリピドAのワクチンアジュバントへの応用について検討を進め、本年度は特に経鼻ワクチンに対するアジュバントとして有用であることを明らかにした。投与部位である鼻腔における炎症などの副作用を示すことなく、抗原特異的なIgA抗体産生などの粘膜免疫応答ならびに血中IgG抗体やTh17応答などの全身免疫応答を増強できたことから、有効性と安全性の両観点から優れたアジュバント素材であると期待できる
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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