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2018 年度 実績報告書

生物機能性ポリマーアレイによる癌幹細胞ニッチの分子要素同定とシグナル経路の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18H02678
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

田賀 哲也  東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (40192629)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード癌 / 癌幹細胞 / ニッチ / グリオーマ / 膵臓癌 / ポリマー
研究実績の概要

(1)計画していたRGDペプチドやラミニンペプチドをリンクした合成ポリマーに関しては次の成果を得た。合成ポリマー96種類がスポットされたスライドを用いてKLM1膵臓癌幹細胞に対する「維持ポリマー」および「接着ポリマー」のスクリーニングを行った結果、維持ポリマー候補として3種類と維持ポリマーに対するコントロールポリマー候補として2種類を選別した。また、接着ポリマーの候補として3種類と接着ポリマーに対するコントロールポリマー候補として1種類を選別した。これらについてスケールアップした系で確認実験を行った結果、維持ポリマー2種類とそのコントロールポリマー1種類について確認できたことから更に検証することとした。
(2) 計画していた糖鎖ポリマーpoly-N-p-vinylbenzyl-4-O-b-D-galactopyranosyl-D-gluconamide (PVLA)およびその類縁のPVMA、PVCA、PVMan等の合成ポリマーに関しては次の成果を得た。これらのポリマーについては初めてのアプローチになることから基材となるシャーレの検討をした結果、従来用いて来たEOG滅菌のものとγ線滅菌のものでラットグリオーマ幹細胞の挙動が異なり、γ線滅菌シャーレにコートしたPVmanで特徴的なチューブ様の形態が観察されたが他のポリマーでは観察されなかった。その他の結果も総合すると、PVLA・PVCA・PVMAは癌幹細胞を維持する方向に、PVmanは癌幹細胞の維持を抑制する方向に働く傾向にあったが、あまり顕著なものではなかった。
(3) 計画していた癌幹細胞性維持に働きかけるニッチ特性の解明に関しては次の成果を得た。準備研究で進めていた合成ポリマーを用いたニッチ擬態ポリマーの探索の過程で、グリオーマ幹細胞のニッチにおいて鉄代謝の強い関与が示唆されたことから、グリオーマ幹細胞のマウス脳内移植モデルにおいて脾臓おび骨髄における赤血球系の細胞の動態を観察したところ、坦癌マウスの骨髄と脾臓で赤血球系分化が亢進することを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画していたポリマーカテゴリーのうち、RGDペプチドやラミニンペプチドをリンクした合成ポリマーに関してと、糖鎖ポリマー関しては、スクリーニングを一通り終えることができた。また、当初計画していた癌幹細胞性維持に働きかけるニッチ特性の解明に関してもin vivoの実験から坦癌マウスの骨髄と脾臓で赤血球系分化が亢進することを見出すことができた。これはこれまでの研究で提唱した癌幹細胞ニッチにおける鉄代謝の関与の重要性をさらに裏付ける成果であり、且つ次年度以降に展開出来る成果であることから、概ね順調な進捗状況と考える。

今後の研究の推進方策

今年度に見出したことの一つである、グリオーマ幹細胞のマウス脳内移植モデルにおける骨髄と脾臓での赤血球系分化の亢進は、大変重要な事象であることから、グリオーマ幹細胞がどのように生体に働きかけることでこの事象が生じるかについて研究を展開させる。そのために、ラット脳腫瘍細胞株の癌幹細胞集団とそれ以外の細胞集団の培養上清を調製して、マウス胎仔肝臓細胞を出発材料として試験管内で赤血球産生過程を再現する培養系に添加して、赤血球系の細胞系譜の各ステージのプロファイルに及ぼす影響をFACSにて解析する研究を推進する。ニッチの複合的要素の関与も念頭に置いて腫瘍随伴マクロファージとの相互作用による赤血球産生過程への影響も推進するべき研究と考える。また、癌幹細胞ニッチ擬態ポリマーについてはスクリーニングで絞り込んだポリマー候補についてさらに機能の検証を行うこととする。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (4件)

  • [国際共同研究] School of Chemistry, Univ. of Edinburgh(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      School of Chemistry, Univ. of Edinburgh
  • [学会発表] Development of Treatment Strategies Targeting Cancer Stem Cells2019

    • 著者名/発表者名
      Taga T and Tabu K
    • 学会等名
      The 3rd Meeting of International Society of Precision Cancer Medicine
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Identification of a subpopulation of glioma cells with a potential for tumor niche development involving myeloid cells2018

    • 著者名/発表者名
      Tabu K and Taga T
    • 学会等名
      The 16th Stem Cell Research Symposium
  • [学会発表] A monocyte-recruiting phenotype defines functional heterogeneity of glioma cells with stemness and chemoresistance2018

    • 著者名/発表者名
      Tabu K and Taga T
    • 学会等名
      The 77th Annual Meeting of the Japanese Cancer Association
  • [備考] 東京医科歯科大学 難治疾患研究所 幹細胞制御分野 研究内容

    • URL

      http://www.tmd.ac.jp/mri/scr/subjects/index.html

  • [備考] Dept Stem Cell Regulation, MRI, TMDU: Res Subject

    • URL

      http://www.tmd.ac.jp/mri/scr/english/subjects/index.html

  • [備考] 研究情報データベース 基本情報 田賀哲也

    • URL

      http://reins.tmd.ac.jp/html/100007289_ja.html

  • [備考] Res. Information DB: Personnel Info.: TAGA Tetsuya

    • URL

      http://reins.tmd.ac.jp/html/100007289_en.html

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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