研究課題
研究代表者がこれまでに収集してきたヒト乳がん臨床検体由来patient-derived xenograft (PDX)を活用し、ゲノム遺伝子変異の蓄積によるがん組織の不均一性と、幹細胞性を維持するシグナルを指標とした機能的ヒエラルキーを統合させる研究を行い、がんの病態の本質を理解することを目的とする。乳がんPDXを2検体用い、IGF1Rhigh もしくはNP1high細胞分画について、C1 single cell-prep systemにより、1細胞を回収して、各細胞分画ごと~100個の微量RNAシークエンスを行った。SEURATを用いたt-SNE解析によりいずれの分画も2~3つのクラスターに分かれることがわかった。クラスター0では増殖マーカーKi67が高い値を示し、比較的増殖能の高いがん幹細胞様細胞がクラスターを形成する一方、クラスター2ではKi67が低い値を示し、増殖能が低くG0にある親玉がん幹細胞様細胞がクラスターを形成することが示唆された。クラスター2に多く発現する遺伝子の中から、親玉がん幹細胞と通常のがん幹細胞を区別できる膜タンパク質FXYD3が見いだされ、研究代表者の手法により、親玉がん幹細胞を同定できることが明らかになった。エクソームシークエンスの結果より、IGF1Rlow分画のみに見いだされたFBXW7変異は、乳がんバルクの変異解析で時々見つかる有名ながん抑制遺伝子である。一方、IGF1Rhigh分画のみに見いだされた変異の中にはバルクの解析で見つかってこない遺伝子変異(TLR10など)が多く含まれていた。このことは、がん幹細胞様細胞に濃縮されやすい遺伝子変異がこれまで見逃されてきたことを強く示唆している。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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