研究課題
令和2年、進行神経芽腫のKIR不一致NK細胞の抗腫瘍効果メカニズムについて以下の検討を行った。1)神経芽腫患者由来腫瘍を用いた異種移植(Patient-derived Tumor Xenograft, PDXモデル:平成30年度に確立できたPDXモデルを、臨床検体を用いて継続して行った。神経芽腫患者から採取された微少な腫瘍検体をNSGマウスなどの超免疫不全マウスに移植して初代マウス(F0)を作成した。同時に腫瘍検体からゲノムDNAとRNAを抽出して遺伝子発現情報や遺伝子変異、染色体のコピー数などの遺伝情報を取得した。移植後に腫瘍体積の増大が確認されたマウスから腫瘍を摘出し、次世代のマウス(F1,F2,F3)を作成し、最終的に3回以上の継代を経て得られた腫瘍組織の遺伝情報を取得し、患者由来の腫瘍検体から得られた遺伝情報との同一性を検証することでPDXモデルの樹立を確認できた。2)KIRリガンド不一致CBTを行う臨床研究からのPDXライブラリ作成:多施設前向き臨床研究(JN-H-20)は全国75施設以上の参加を予定しており、この試験に登録する症例の初診時未治療生検検体よりPDXモデルの樹立を行い、薬剤スクリーニングや後述のがん免疫療法の有効性確認に利用することが決定した。3)KIRによるNKサブセットを用いたin vitroおよびin vivoにおける抗腫瘍効果の解析:KIRリガンド不一致CBTにおいて、KIR2DL1単独陽性NK細胞が移植後1年かけて増加してドナーと同等の頻度に到達することを明らかにした。4)GD2-CAR-T細胞のPDXモデルにおける有効性の検証:神経芽腫細胞の表面に発現する糖鎖抗原であるGD2に対するキメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞(GD2-CAR-T細胞)を樹立し、GD2-CAR-T細胞の神経芽腫細胞の傷害活性を確認できた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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