研究課題
BNCT (Boron neutron capture therapy:ホウ素中性子捕捉療法)はがんに対する放射線治療の一種であり、熱中性子とホウ素が反応してα線を放出することを応用した治療法である。細胞レベルで線量分布のコントロールが可能であり、高い腫瘍選択性が得られるため奏効率の向上と副作用の軽減が期待されているが、治療の奏効性、副作用と関連するバイオマーカーの研究は十分には進んでいない。本研究ではBNCT条件での治療照射下におけるがん細胞死応答に注目する。細胞レベル、マウスモデルでトランスクリプトーム、プロテオーム解析等から局所的及び全身性のダイイング/生存コードとなる因子を特に細胞外に漏出する炎症と関連するDAMPs分子に注目して同定する。トランスクリプトーム解析によるDAMPs、応答性分子の解析については、昨年度までにヒト口腔扁平上皮がんSAS細胞株を用いて、BNCTが誘導する細胞死の過程を検討した。同様なBNCT治療条件でBNCT治療の対象となるヒトメラノーマについて、細胞株A375やマウスメラノーマ細胞株において照射後、早期応答に注目して、解析を行ってきた。DAMPsとして細胞外量が増加する候補HMGB1,GM-CSFなどに注目し、BNCT照射条件、およびガンマ線照射後の発現変化をリアルタイムPCR法で比較検証した。がん種/がん細胞の共通性の変化と特異的な変化を調べつつある。さらにマウス下肢へのヒトメラノーマ細胞株A375皮下移植腫瘍モデルを作製し、BNCTの条件で中性子線照射を行い、腫瘍組織の組織染色と血液採取を行い、バイオマーカー候補の動態を検討した。バイオマーカー候補分子群について短期におけるバイオマーカー候補動態変化と治療の奏効性、副作用について、治療局所と全身性影響として、組織学的、及び生化学的解析に基づき検討し、有効性の高いバイマーカー候補を絞り込む。
2: おおむね順調に進展している
トランスクリプトーム解析による応答性分子の解析については、ヒト口腔扁平上皮がんSAS細胞株を用いて、BNCTが誘導する細胞死の過程を検討した。同様なBNCT治療条件でBNCT治療の対象となるヒトメラノーマ細胞株A375やマウスメラノーマ細胞株において照射後、早期応答に注目して、解析を行ってきた。さらにがん種/がん細胞の共通性の変化と特異的な変化を調べつつある。また、マウスモデルを用いてバイオマーカー候補の動態を検討した。
来年度、バイオマーカー候補分子群について短期におけるバイオマーカー候補動態変化と治療の奏効性、副作用について、治療局所と全身性影響として、組織学的、及び生化学的解析に基づき検討し、有効性の高いバイマーカー候補を絞り込んでいく検討を行う。
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KURRI Progress Report 2018
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