研究課題
1 本研究で同定した下流エフェクタータンパク質候補の解析を進めた。アクチンと結合する第2群タンパク質、細胞内シグナル伝達にかかわる第3群タンパク質群共にWB法にて結合を確認した。また、相互作用確認用のCERS6部分欠損たんぱく質発現ベクターの一部を作成した。2 CERS6発現制御に関するプロモーター解析を実施するした。CERS6プロモーター領域のルシフェラーゼ分析を行い、Yボックスをシス作用エレメントとして同定した。 一方で、149人のNSCLCがん患者のデータベース解析を行い、CERS6発現との相関を示すトランス作用因子をスクリーニングした。候補の中で、CCAATエンハンサー結合タンパク質gamma(CEBPgamma)および、Yボックス結合タンパク質1(YBX1)のいずれかのサイレンシングが、CERS6発現レベルを低下させた。ノックダウン実験によって、CEBPgammaとYBX1は、セラミド依存性のラメリポディア形成とがん細胞遊走活性の低下を誘導した。CEBPgammaはYボックスへの特異的結合を通じてCERS6発現を誘導していた。CERS6、CEBPgamma、およびYBX1のmRNA発現レベルは、腺癌の浸潤性と正の相関がありました。 YBX1の発現は、検査した20の臨床肺がん検体すべてで観察されたが、そのうち6つはCERS6と同様の染色パターンを示した。以上の発見は、転写因子CEBPgammaとYBX1がCERS6を介して肺がん遊走に関与していることを示唆した。3 化合物をマウスに投与し、体重変化観察を行ったところ、PBS群と同様の体重推移を認めた。この結果、化合物はマウスに対する毒性がないか、あっても体重変化をもたらすほどのものではないことが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
令和2年度の目的をほぼ達成した。特に2ではCERS6上流にある2因子を同定し、CERS6発現をコントロールしている機序を明らかとした。2因子のうちCEBPgammaについては、固形がん病理に関与するという報告は世界で2報目となった。また、これら2因子のノックダウンにより、細胞遊走能が低下すること、抗体の存在するYBX1では臨床検体でもCERS6をポジティブにコントロールしている可能性を示唆した。
1 前年度に同定した下流エフェクタータンパク質候補の解析を進める。1-1 相互作用が確認されたタンパク質につき、相互作用部位を同定する。1-2 エフェクタータンパク質候補のノックダウンを行い、転移にかかわる表現型に対する影響を調べる。2 化合物につき、転移阻害効果の有無をマウスにて調べる。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
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