研究課題/領域番号 |
18H02701
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研究機関 | 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
田中 伸幸 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん先進治療開発研究部, 部長 (60280872)
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研究分担者 |
長島 隆一 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん先進治療開発研究部, 研究技師 (20783707)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 癌幹細胞 / 造腫瘍性 |
研究実績の概要 |
癌幹細胞を根絶する治療技術の確立が急務となっているが、有効な治療には繋がっていない。プロテオミクス解析によって同定したS100A10は、癌幹細胞性の発現のみならず浸潤・転移を制御する鍵分子として機能し、治療抵抗性を誘導する可能性が高い。本年度は、1)腫瘍増殖におけるS100A10の役割を解析した。S100A10ノックダウンおよびノックアウトにより頭頚部癌の増殖は有意に低下した。ヌードマウスを用いた造腫瘍アッセイにおいて、S100A10は増殖の維持に重要であることが明らかとなった。2)癌幹細胞維持においては、in vitroにおける幹細胞性を解析した。少数の細胞を用いたスフェアアッセイでは、S100A10ノックダウンによってスフェア数が有意に減少し、ヌードマウスに対する造腫瘍活性にも大きな差異が生じた。さらに、がんの幹細胞マーカーであるCD271およびCD44も発現が低下したが、Nanog等の幹細胞関連遺伝子に変化はなかった。これらの結果から、S100A10はがん細胞の、増殖と運動性の発揮に大きな影響を与えるが、がん幹細胞性に与える影響は部分的なものであることが判明した。上記の性質をS100A10がどのようにして付与するか?について、さらに細胞生物学的な解析を進展させる必要があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年に渡る計画どおりに進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
さらに細胞生物学的解析を進め、in vivoにおける病態解析を通じて治療法開発に資する研究に発展させる予定である。
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