研究課題/領域番号 |
18H02707
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松本 有樹修 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (60741519)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Long non-coding RNA / ポリペプチド / 脳・神経疾患 |
研究実績の概要 |
これまでに8個の候補ポリペプチドを同定しており、これらの解析を進めることにより疾患との関連を明らかにしていく。これらの候補は脳特異的に発現しており、自閉症や鬱病、グリオーマなどといった様々な疾患において、RNAの発現量の変化や遺伝子の欠損などが見られた。さらにこれらポリペプチドは、細胞質や小胞体、リソソーム、核などといった非常に多用な細胞内局在を示した。本年度は、主に以下の解析を行った。
(1) FLAGなどのタグ配列をノックインしたマウスの作製を行った。すでに2種のポリペプチドに関しては作成済みであり、ウエスタンブロットにより内在性のポリペプチドの発現を証明した。 (2) これらポリペプチドのうちのひとつは核移行シグナルを持ち核内に局在していた。結合タンパク質を同定してみると、HDAC3複合体を形成するサブユニットの全てと非常に強く結合していた。HDAC3複合体の活性が変化するとtranscriptomeが変化すると予想されるので、KOマウスのprefrontal cortexを用いてRNA-seqを行ったところ、KOで55個の遺伝子発現が上昇し、18個の遺伝子発現が低下してい た。また、遺伝子変化が見られた遺伝子を用いてGO term解析を行うと、これらはsynapseやadult behaviourに重要な遺伝子であることが分かった。今後は、行動解析、及びChIP-seqなどを行い、詳細な機構を明らかにしていく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
タグノックインマウスを作製して内在性の発現を確認し、さらにノックアウトマウスを作製して、RNA-seqにより脳に何らかの変化があることを見いだすことに成功した。このポリペプチドがHDAC3の制御に重要である可能性も強く示唆され、分子機構の解明への手がかりを得ることも出来た。これら成果より、当初の計画より順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
(1) HDAC3と結合しているポリペプチドに関しては行動解析を行い、どのような行動に異常を示すかを明らかにする。さらにChIP-seqを行い、ヒストンのアセチル化の状態、及びこのポリペプチドがどの遺伝子領域に結合しているかなどを明らかにする。 (2) 他のポリペプチドに関しても同様に、タグノックインマウスを作製して、内在性の発現を確認していく。さらに、ノックアウトマウスの表現型の解析や、分子機構の解明などを進めていく。
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