研究課題/領域番号 |
18H02708
|
研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
村越 秀治 生理学研究所, 脳機能計測・支援センター, 准教授 (90608142)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 光応答性分子 / 2光子蛍光顕微鏡 / シナプス |
研究実績の概要 |
シナプス可塑性において、細胞内シグナル分子であるリン酸化キナーゼは極めて重要であると考えられている。特に、大脳皮質や海馬の興奮性神経細胞において、グルタミン酸入力によるスパインの体積変化とAMPA受容体のリクルートにキナーゼは必須である。研究代表者はこれまでに、シナプスにおいて光照射依存的にシナプスの可塑的変化を惹起することが可能な光応答性リン酸化キナーゼの開発を進めて来た。この分子を、海馬スライス神経細胞に応用することで、光照射によりスパイン体積の増大を惹起することに成功している。また、現在までに、アデノ随伴ウイルスの作製プロトコールを確立し、遺伝子導入した個体マウスで光照射によりスパインの体積変化が惹起出来ることを確認することができた。また、光応答性リン酸化キナーゼについては現在論文を投稿中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
個体動物に遺伝子コード型光応答性分子を発現させるには、アデノ随伴ウイルスを用いることが最も簡便である。今年度は、個体マウスで光照射によりスパインの体積変化が惹起出来るかどうかを確認するため、光応答性分子をコードするアデノ随伴ウイルスの精製プロトコールを作製し、十分な力価をもつアデノ随伴ウイルスを安定的に作製することが可能になっており、研究は極めて順調に進んでいる。また、精製したウイルスを用いて、マウス大脳皮質の神経細胞にプローブを発現させ、光応答性キナーゼを光活性化することで、スパインの体積変化が惹起出来ることを個体マウスのレベルで確認することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
申請者は昨年度までに、シナプスにおいて光照射依存的にシナプスの可塑的変化を惹起することが可能な光応答性CaMKIIの開発を進めて来た。また、この分子を用いて、海馬スライス神経細胞において光照射によりスパイン体積の増大を惹起することに成功している。また、昨年度までに個体マウスで光照射によりスパインの体積変化を惹起出来ることを確認することができた。今年度は、光応答性CaMKIIに各種様々な遺伝子改変を行い、可塑的変化が起こったスパイン特異的に光応答性CaMKIIを局在化させることを試みる。
|