研究課題/領域番号 |
18H02711
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
藤澤 茂義 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (20589395)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 神経生理学 |
研究実績の概要 |
人間や動物にとって、自分が経験した出来事を記憶することは、日常生活を営む上で非常に重要である。申請者はこれまで、げっ歯類動物であるラットの海馬CA1領域において、経験している出来事の情報を表現する「イベント・ニューロン」という神経細胞が存在すること神経生理学実験により発見し、海馬の神経ネットワークにおける出来事とその時系列表現を明らかにしてきた。本研究では、海馬における時系列記憶形成の神経回路メカニズムの詳細を解明することを目的とする。海馬および嗅内皮質の神経回路においていかに出来事の時系列情報が形成されるかを、行動実験と電気生理学実験を組み合わせ、行動中に各領域のニューロンの活動を観測することで明らかにしていく。 昨年度は、海馬の神経回路でいかに時間経過に対しての順序表現が形成されるかを明らかにしていく研究を行った。まず行動課題として、動物の意思決定において時間の経過情報を必要とする間隔二等分課題を実行させ、そのときの海馬CA1のニューロンの発火活動を高密度大規模シリコンプローブ電極を用いて計測する実験を行った。ここで、シリコンプローブとは、櫛状に多数の電極を配置した高密度電極で、数十個~数百個という多数のニューロンの発火活動を、ミリ秒単位の精密な時間スケールで同時に記録できるデバイスのことである。海馬に高密度シリコンプローブを配置し、海馬領域のニューロンの活動を同時に網羅的に観測することにより、海馬の時間を表現する細胞は必要に応じてその時間表象をフレキシブルに可変できるということを明らかになった。また、この海馬での時間表現は、動物の計時行動にも強く反映されていることも明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、海馬の神経回路でいかに時間経過に対しての順序表現が形成されるかを明らかにしていく研究において、データ収録とデータ解析が大きく進んだ。そのため、この研究を論文としてまとめることができ、現在論文誌に投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、上述した行動実験系を用いて、海馬CA1に加えて嗅内皮質など他の脳領域も同時に記録することを計画している。この研究により、領域間の相互作用と情報の流れに注目した研究を行っていく。得られた大規模データを統計的数理解析にかけて詳細に分析することにより、注目している神経回路においてどのような情報処理が行われているのかを明らかにしていく。
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