本研究では、海馬における時系列記憶形成の神経回路メカニズムの詳細を解明することを目的とした。具体的には、海馬の神経回路でいかに時間経過に対しての順序表現が形成されるかを明らかにする研究を行った。まず行動課題として、動物の意思決定において時間の経過情報を必要とする間隔二等分課題を実行させ、そのときの海馬CA1ニューロンの発火活動を高密度シリコンプローブ電極を用いて計測する実験を行った。この結果、海馬の時間を表現する細胞は必要に応じてその時間表象をフレキシブルに可変できるということを解明した。また、この海馬での時間表現は、動物の計時をもとにした意思決定行動にも強く反映されていることも明らかにした。
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