研究課題/領域番号 |
18H02713
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大泉 匡史 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (30715371)
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研究分担者 |
笹井 俊太朗 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 協力研究員 (00789612) [辞退]
小村 豊 京都大学, こころの未来研究センター, 教授 (80357029)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 意識 / 分離脳 / 統合情報理論 / 情報理論 / ECoG |
研究実績の概要 |
左脳と右脳をつなぐ脳梁がてんかんの治療のために切断された脳は「分離脳」と呼ばれ、患者はあたかも左脳と右脳に2つの独立した意識が生じているかのような行動をとる。本研究は、マカクサルをモデル動物として、統合情報理論を用いた神経活動解析から分離脳のメカニズムを解明することを目標とする。この目標に当たって、今年度は解析と実験に関して以下を行った。 解析:大泉は統合情報理論の立場から、神経ネットワークの「情報のコア」を効率的に探索するアルゴリズムを考案した。統合情報理論は神経ネットワークの情報のコアを意識の場所と見なす仮説を提唱しており、本研究ではこの仮説に基づいて分離脳における意識の分離を予測する。神経ネットワークにおけるコアの探索にかかる計算時間は、システムサイズに対して指数関数的に増加してしまうため、単純な全数探索ではコアを探索することは不可能であった。大泉らが提案するアルゴリズムを用いると、システムサイズに対して多項式時間のオーダーでコアの探索が可能となるため、本研究で解析する予定のECoGデータにおいてコアを探索する手立てができたことになる。 実験:小村はマカクサルにおける意識の分離を行動的に評価するための、行動課題をデザインした。具体的には、二つの視覚刺激を、左右視野にまたがるように提示し、それらの刺激が、同じか異なるかを、眼球運動にて報告することを、動物に要求する。現在、動物の視線をリアルタイムに計測しながら、上記の条件を満足できるように、行動を訓練中である。この課題の成否によって、今後、脳梁を離断したときに、左右の大脳半球における情報処理が統合されているか否かを行動学的に検証できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は神経ネットワークの情報のコアを同定するために、必要なアルゴリズムが開発できた。また、動物の実験環境を整備し、行動課題を組みあげ、実際に行動訓練を開始した。そのため、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、まず今年度開発した神経ネットワークにおける情報のコアを同定するアルゴリズムを学術論文としてまとめ発表することを行う。また、今年度に引き続きマカクサルの行動訓練を行う。さらに、マカクサルの脳でECoG記録を行う。
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