研究課題
基盤研究(B)
本研究では、パーキンソン病の状態を模した培養細胞やゼブラフィッシュでミトコンドリアDNAが細胞質に漏出していることを明らかにした。また細胞質に漏出したミトコンドリアDNAのセンサー阻害や細胞質ミトコンドリアDNAの分解促進により炎症反応や神経変性が改善することを示した。さらにヒトパーキンソン病剖検脳でも細胞質に漏出したミトコンドリアDNAやそのセンサーであるIFI16の蓄積を認めた。以上の結果は、ミトコンドリアDNAの細胞質漏出がパーキンソン病の神経変性の重要な原因となる可能性を示唆してる。
病態神経科学、神経内科学
これまでに見いだされていなかったパーキンソン病の新たな病態を明らかにした研究である。細胞質に漏出したミトコンドリアDNAの分解、あるいはそのミトコンドリアDNAセンサーの阻害が、パーキンソン病の病態に立脚した新規治療法につながる可能性がある。またパーキンソン病以外の疾患、例えば心不全や肝臓線維化などでも同様のメカニズムが存在する可能性がある。パーキンソン病のさらなる解明や治療の開発と並行して、その他の疾患解析も検証を進める。