ケトン食療法は、既存薬が効かない難治性てんかんに有効であり、アルツハイマー病等の神経疾患への有効性も示唆されている。本研究では、ケトン食療法に基づく治療薬開発を目指し、以下3項目を実施した。まず第一に、ケトン食の主要代謝産物であるβヒドロキシ酪酸に着目し、その作用点として電位依存性カルシウムチャネルα1サブユニットを決定した。第二に、ケトン食による抗てんかん作用を担う乳酸脱水素酵素に関し、その LDHA サブユニットがてんかん発作で増加することを明らかにした。最後に、アルツハイマー病モデルマウスにおける認知機能障害をβヒドロキシ酪酸が予防することを見出し、その作用メカニズムを検討した。
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