研究課題
マウスへの大腸癌細胞の移植によって癌性悪液質病態を再現した担癌マウスを作製し、脳内神経炎症が引き起こされていることを炎症性サイトカインの発現を通して確認した。また、脳内へのインターロイキン1bの投与により、担癌動物でなくとも急激な体重減少と疲労行動が再現されることも確認した。一方、こうした癌性悪液質病態における腫瘍細胞の増殖活性をファイバー型顕微内視鏡を用いてin vivoライブイメージングするための実験系も確立した。特に、細胞周期インジケーターであるFucciを導入した腫瘍細胞をマウスへ移植し、担癌モデルマウスを作製した。そして、ファイバー型顕微内視鏡を腫瘍組織に刺入し、ファイバー先端が通過した組織中の腫瘍細胞一つひとつの増殖活性をライブイメージングした。腫瘍の増殖活性は、腫瘍表面に近い領域では非常に高いが、腫瘍の中心部へ近づくと増殖活性が低下することが可視化できた。また、抗癌剤の投与により増殖率が低下することもわかり、当担癌モデル動物において、腫瘍の増殖活性をモニターできることを確認した。こうした顕微内視鏡ライブイメージングシステムをハイスループット化するための工夫をおこない、短時間の間に複数匹の担癌マウスの腫瘍細胞の増殖活性を定量することに成功した。また、画像解析により、顕微内視鏡で取得したライブイメージング画像を、一枚の2次元画像として再構成し、腫瘍の表面から中心部までを二次元画像として観察できるシステムを開発した。
2: おおむね順調に進展している
担癌動物を作製し、生体内の腫瘍細胞の増殖活性の変化をスループットよく定量できる試験系を確立し、予定していた研究を実施できている。
癌性悪液質を引き起こす担癌動物を作製し、生体内の腫瘍細胞の増殖活性の変化をスループットよく定量できる試験系を用いて、腫瘍細胞の増殖と脳内神経炎症や自律神経機能との関係を検討する。さらに、脳内炎症を惹起、あるいは抑制した場合に、腫瘍増殖活性がどのように変化するかを明らかにする。
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