研究課題
アルツハイマー病の原因とされるAβが「なぜ」、「どのように」ヒト脳内で蓄積するのか未だ不明である。我々は脳内のAβの特徴的な領域分布に着目し独自に剖検脳を解析することで、①シナプスがまず全長型Aβの蓄積に関与し引き金となり、②ついで何らかの別の因子がN末端の断片化したAβの蓄積を引き起こしタウの蓄積や臨床病理症状と結びつくこと、を見出し、提唱した(Shinohara et al., Brain 2017)。その分子的実態や臨床的意義をさらに解明するため本研究では、①シナプスがどのような機序で全長型Aβの蓄積に関与するのか、②断片化Aβがどのような機序で蓄積するのか、の分子的な詳細について、これまでの領域分布に着目した剖検脳解析とともに、新規in vivoマイクロダイアリシスを用いた動物モデル解析や、新規結合因子の同定、領域横断的な遺伝子ネットワークの構築、独自のex vivo分解系の導入、高感度ELISAの開発と臨床検体の解析などを通じて明らかにすることを目的とする。当該年度は最終年度にあたる。特に多数の脳領域を用いた剖検脳検体の解析が進み、全長型Aβと断片化Aβの特徴的な領域分布にそれぞれ相関する遺伝子、パスウェイが明らかになった。新規に同定した遺伝子、パスウェイの関与を実験的に検証するために、in vivoマイクロダイアリシスなどを用いた研究を引き続き行っている。また本研究にも有用なタウの蓄積を評価するELISAを構築するために、複数のELISAを導入、比較したところ、中間部位からC末端部位を認識する抗体を組み合わせたELISAがアルツハイマー病脳で蓄積しているタウを最も的確に定量評価できることが判明し、結果を学術誌に報告した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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FASEB BioAdvances
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10.1096/fba.2020-00151