研究課題/領域番号 |
18H02729
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
竹下 享典 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70444403)
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研究分担者 |
丹羽 利充 修文大学, 看護学部, 教授 (20208268)
佐藤 稔 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (70449891) [辞退]
片岡 浩巳 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (80398049)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | インドキシル硫酸 / 動脈硬化 / Notchシグナル |
研究実績の概要 |
インドキシル硫酸の生体内における影響を検討するために、ヒト腎不全と同様の病理変化を呈するインドキシル硫酸負荷ダール食塩感受性高血圧ラットを確立した。Dahl食塩感受性ラットに飲水中に2%食塩水負荷、さらにインドキシル硫酸 200 mg/kg/dayを投与してインドキシル硫酸負荷モデルを作製した。対照にDahl食塩感受性ラット(塩分負荷なし)、2%食塩水負荷したDahl食塩感受性ラットを準備した。体重、摂餌量、飲水量、血圧のほかに血液中インドキシル硫酸濃度、血液中尿素窒素、クレアチニン値を計測した。2%食塩水負荷したDahl食塩感受性ラットとインドキシル硫酸負荷モデルの間では体重、血圧に有意差はなかったが、インドキシル硫酸の血中濃度は10倍に増加していた。血中および尿中クレアチニン、尿素窒素といった腎機能を示唆するパラメーターに有意差はなかった。インドキシル硫酸負荷モデルでは、大動脈において壁の肥厚、線維化、中膜の石灰化を認め、Moenckberg型動脈硬化所見を認めた。これは大動脈だけでなく、心臓の冠動脈、腎臓の中動脈でも認められた。心臓においては心内膜と冠動脈周囲に有意に線維化が増加していた。したがって血圧のような物理的刺激でなく、インドキシル硫酸の細胞シグナルへの刺激が動脈硬化、線維化に寄与していることが確認された。動脈硬化部位ではNotch1、Notch3とその下流の転写因子Hes-1の発現が増加していた。一方石灰化を示す動脈中膜付近ではNotch1、Notch3とHes-1の発現が低下していた。大動脈のメタボローム解析を行ったところ、一酸化窒素、フリーラジカルの産生が亢進するも、低酸素への反応性が低下していた。培養ヒト平滑筋細胞において、インドキシル硫酸刺激は一過性の上昇の後低下を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
代表者の転籍により、研究の進行に不都合が生じた。現在は軌道に乗りつつある。
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今後の研究の推進方策 |
Notchシグナルの変化と、平滑筋のアポトーシス誘導、炎症誘導、石灰化誘導について検討する。 Notch1欠損マウスと対照マウスについてインドキシル硫酸負荷モデルの作製と病理解析を行う。
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