• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実績報告書

閉塞性動脈硬化症の診断治療の新パラダイム構築-エクソソームを用いた検査学的展開

研究課題

研究課題/領域番号 18H02734
研究機関鹿児島大学

研究代表者

山口 宗一  鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (20325814)

研究分担者 丸山 征郎  鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (20082282)
大山 陽子  鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (20583470)
竹之内 和則  鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (30646758)
橋口 照人  鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70250917)
原田 陽一郎  地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 糖鎖オンコロジー部主任研究員 (80464147)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードmiRNA / exosome / 血管内皮細胞 / 動脈硬化
研究実績の概要

閉塞性動脈硬化症(ASO)の血管内皮細胞の機能評価が可能な血中バイオマーカーとして、一酸化窒素、PGI2代謝産物などが想定されているが、血中で不安定なため、ASOの検査としては単独では感度、特異度ともに一定水準を期待するのは困難である。本研究では、血中で比較的安定であるmiRNAに着目して、病態への関与とバイオマーカーとしての意義について掘り下げて検討している。その過程で、細胞外分泌小胞の基礎実験を加えてエクソソームの病態への関与を明らかにしていく。miRNA、エクソソームという新機軸を導入することで、ASO病態の再構築を試みており、リンパ球や血小板が分泌する細胞外分泌小胞の基礎研究を行うことで、血管と血球系のコミュニケーションをより明確にしていく。1,2年目において、臨床検体を用いたASOの実臨床から得られたデータの構築と、培養細胞を使用した基礎実験データが得られた。それぞれについての実績は次の通りである。
I. ASO患者の血清中miRNAについての動態を検討した。ASO患者の術前、術後の血清を用いてマイクロアレイ解析により、網羅的に病態に関連すると総合的に考えられるmiRNAを抽出しqPCRにて動態を確認した。これら一群の血清miRNAは、エクソソームに含まれるもの、血清蛋白と結合して存在するものに分けられるが、この中でエクソソーム中の独自に選択したmiRNAについて検討を加えている。この間に、冠動脈バイパス手術患者の血清中miRNAの検討も行い現在論文作成中である。
II. エクソソームの分泌と取り込みの基礎的研究では、2年目までは取り込みについての研究を行った。エクソソーム取り込みには、エクソソーム表面の糖鎖構造が重要であることを、がん細胞の研究において見出し共著者として報告できた。これを応用して、血管内皮細胞における取り込み様式について検討を加えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

3年間の研究計画の中で、2年目までに(1)ASOの診断法開発研究と(2)ASOの治療応用研究の2つの柱については、それぞれ想定通りの進行状況である。
I. ASO患者の血清中エクソソームの多角的解析:ASO患者の血清を使用したマイクロアレイを1年目に遂行して得られたmiRNAの一群から、ASOの病態に重要と考えられるmiRNAを同定して検討を重ねており、順調に研究は進んでいる。
II. エクソソームの分泌制御機構解明:本年度は取り込みについて研究を行った。エクソソームの取り込みは各種細胞で多様であることが確認されており、がん細胞での高マンノース型糖鎖についての詳細な検討を論文として報告した。現在は、血管内皮細胞での取り込みについて解析中であり、比較的順調に進行している。

今後の研究の推進方策

本年度は、過去2年間で得られたデータを再考しながら、更に新たな培養細胞実験を行い、すべてのデータの一元化を図る。ASOの病態の一端をエクソソームとmiRNAにより体系化して、治療と診断の一助となる結果が得られるように研究を進める。
I. ASO患者の血清中エクソソームの多角的解析:がん細胞実験で得られたエクソソームの糖鎖について血管内皮細胞に応用し、ASO病態に関係する現象を検討する。2年目までで解析をした冠動脈バイパス患者の血清miRNA、心房細動患者の血清miRNAの動態を加味しながら、ASOというファジーな疾患概念を再構築してみたい。
II. エクソソームの分泌制御機構解明:昨年度までにマイクロアレイによるデータ解析で同定されたmiRNAを使用して、培養血管内皮細胞への取り込み、機能変化、そのメカニズムを詳細に検討する。miRNAのネットワークを検討することにより、臨床検体で得られた前項のASO概念図に学術的な根拠を与えたい。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Bivalent property of intra-platelet VWF in liver regeneration and HCC recurrence: A prospective multicenter study2019

    • 著者名/発表者名
      Aryal Bibek、Yamakuchi Munekazu、Shimizu Toshiaki、Kadono Jun、Furoi Akira、Gejima Kentaro、Takenouchi Kazunori、Komokata Teruo、Hashiguchi Teruto、Imoto Yutaka
    • 雑誌名

      Cancer Biomarkers

      巻: 26 ページ: 51~61

    • DOI

      10.3233/CBM-190168

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Intra-platelet Serotonin as a Biomarker in HCC Recurrence: When Time Matters2019

    • 著者名/発表者名
      Aryal Bibek、Yamakuchi Munekazu、Hashiguchi Teruto、Imoto Yutaka
    • 雑誌名

      Journal of Cancer

      巻: 10 ページ: 2384~2385

    • DOI

      10.7150/jca.30696

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Application of high-mannose-type glycan-specific lectin from Oscillatoria Agardhii for affinity isolation of tumor-derived extracellular vesicles2019

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto Mika、Harada Yoichiro、Suzuki Takehiro、Fukushige Tomoko、Yamakuchi Munekazu、Kanekura Takuro、Dohmae Naoshi、Hori Kanji、Maruyama Ikuro
    • 雑誌名

      Analytical Biochemistry

      巻: 580 ページ: 21~29

    • DOI

      10.1016/j.ab.2019.06.001

    • 査読あり
  • [学会発表] レジオネラ菌感染におけるマクロファージ様細胞U937のmicroRNAを介した応答機構2019

    • 著者名/発表者名
      山口 宗一, 郡山 豊泰, 竹之内 和則, 大山 陽子, 政元 いずみ, 橋口 照人
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 大動脈弁狭窄症に対する大動脈弁置換術前後での末梢血、凝固系の検討2019

    • 著者名/発表者名
      上田英昭、松本和久、山口宗一、竹之内和則、大山陽子、橋口照人、井本 浩
    • 学会等名
      第51回日本臨床検査自動化学学会
  • [学会発表] Regulation of von Willebrand factor release in endothelial cells2019

    • 著者名/発表者名
      山口 宗一, 竹之内 和則, 大山 陽子, 橋口 照人
    • 学会等名
      第41回日本血栓止血学会学術集会シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] miR-375 attenuated innate immune response in bronchial epithelial cell through modulate of JAK2-STAT1 pathway2019

    • 著者名/発表者名
      Koichi Takagi, Kentaro Machida, Takahiro Matsuyama, Kota Sakaue, Kiyotaka Kondo, Munekazu Yamakuchi, Teruto Hashiguchi, Hiromasa Inoue
    • 学会等名
      American Thoracic Society International Conference 2019
    • 国際学会
  • [図書] 細胞 p53分子と血管炎症のかかわり2020

    • 著者名/発表者名
      山口宗一
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      ニューサイエンス社
  • [図書] 臨床病理 miRNAによる自然免疫制御機構2019

    • 著者名/発表者名
      山口 宗一, 郡山 豊泰, 清水 利昭, 竹之内 和則, 大山 陽子, 政元 いずみ, 橋口 照人
    • 総ページ数
      12
    • 出版者
      日本臨床検査医学会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi