研究課題
同じヨーロッパの汚染された組織を使用しながら、わが国の硬膜移植後のCJDでは、M1プリオン感染が70%、V2プリオン感染が30%とヨーロッパの孤発性CJDの比率に近い頻度で認められたが、英国及び仏国の成長ホルモン製剤投与後のCJDでは、90%以上がV2プリオン感染という特異な比率を示している。我々は、頭蓋内投与の硬膜移植と皮下投与の成長ホルモン製剤の投与法により感染性の違いが生じるのではないかという仮説に基づいて、末梢投与による感染性の違いを検討することにした。M1プリオン3症例、V2プリオン3症例、M2Cプリオン3症例、M2Tプリオンを3症例用いて、腹腔内投与後脾臓のFDCの陽性率を検討した。V2プリオンでは59匹中34匹感染(58%)が成立し、M1プリオンでは37匹中感染が成立したのは6匹(16%)であった。M2Cプリオンは48匹感染実験を行ったが感染成立は0匹、M2Tプリオンでは37匹中0匹であった。M1プリオンに関して、ヒト型プリオン蛋白を導入した129Met/Metマウスのみに限ると感染が成立したのは18匹中1匹(0.5%)で、むしろ129Val/Valの遺伝子型の方が、19匹中5匹(26.3%)と感染成立の確率は高いものであった。一方、V2プリオンに関しては、129Met/Metマウスでは28匹中11匹(39.2%),129Val/Valマウスでは31匹中23匹(74.2%)であった。以上のことより、明らかにM1プリオンは末梢ルートでは感染しにくいことが明らかとなり、わが国で最も多いM1プリオンは、わが国で最も多い遺伝子型である129Met/Metのヒトにはまず感染しないことが示唆された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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