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2018 年度 実績報告書

レジストリーを用いた多系統萎縮症の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 18H02739
研究機関東京大学

研究代表者

三井 純  東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (70579862)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード多系統萎縮症 / コエンザイムQ10 / 酸化的ストレス
研究実績の概要

多系統萎縮症の関連遺伝子として同定したCOQ2遺伝子について,変異の機能障害性を評価するための新たな解析系を構築した(Neurogenetics. 2019 Mar;20(1):51-52).本解析系は,従来の評価方法(N Engl J Med. 2013 Jul 18;369(3):233-44)では検出が困難であったV393A変異の機能障害性を示すことができ,かつ簡便な解析方法であった.

COQ2遺伝子変異を持つ,並びに持たない多系統萎縮症患者の末梢単核球からiPS細胞を樹立し,ニューロンへ分化させて,様々な検討を行った(Sci Rep. 2018 Sep 21;8(1):14215).その結果,COQ2遺伝子変異を持つ多系統萎縮症患者由来のニューロンでは,ミトコンドリア呼吸鎖の障害,酸化的ストレスへの脆弱性を示唆する所見を得た.興味深いことに,COQ2遺伝子変異を持たない多系統萎縮症患者由来のニューロンにおいても,その傾向が認められた.また,CRISPR/Cas9の手法を用いて,COQ2遺伝子変異の遺伝子編集を行ったところ,ミトコンドリア呼吸鎖の障害,酸化的ストレスへの脆弱性の所見が軽減した.

多系統萎縮症に対する多施設共同の患者レジストリーは,2019年3月末時点で416例の累積登録数を達成した.登録時の生体試料(ゲノムDNA,血漿など)収集とともに前向きに,6ヶ月に1回の電話インタビューによるADL評価(UMSARS part 1),12ヶ月に1回の運動機能評価(UMSARS part 2)の評価を継続している.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

論文の作成は順調だった.レジストリーの試料・情報の収集が順調であり,これらを活用して,さらなる研究の発展が期待できる.

今後の研究の推進方策

レジストリーの自然歴の検討を始める.臨床情報だけではなく,ゲノムDNA,血漿などの解析も並行して行い,疾患の自然歴と関連する因子を検索する.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Oxygen consumption rate for evaluation of COQ2 variants associated with multiple system atrophy2019

    • 著者名/発表者名
      Yasuda Tsutomu、Matsukawa Takashi、Mitsui Jun、Tsuji Shoji
    • 雑誌名

      neurogenetics

      巻: 20 ページ: 51~52

    • DOI

      10.1007/s10048-018-0563-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The pathogenesis linked to coenzyme Q10 insufficiency in iPSC-derived neurons from patients with multiple-system atrophy2018

    • 著者名/発表者名
      Nakamoto Fumiko Kusunoki、Okamoto Satoshi、Mitsui Jun、Sone Takefumi、Ishikawa Mitsuru、Yamamoto Yorihiro、Kanegae Yumi、Nakatake Yuhki、Imaizumi Kent、Ishiura Hiroyuki、Tsuji Shoji、Okano Hideyuki
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 8 ページ: 14215

    • DOI

      10.1038/s41598-018-32573-1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 代替マトリックスを用いたヒト脳脊髄液中コエンザイムQ10の分析法の開発及び実試料測定2019

    • 著者名/発表者名
      落合 良介,脇田 由貴子,辻野 一,工藤 忍,三井 純,辻 省次
    • 学会等名
      Japan Bioanalysis Forum 2019
  • [学会発表] ゲノムから孤発性神経疾患が解明できるか?2018

    • 著者名/発表者名
      三井 純
    • 学会等名
      第59回日本神経学会学術大会
  • [学会発表] 日本語版統一多系統萎縮症評価尺度の信頼性・妥当性について2018

    • 著者名/発表者名
      近田 彩香,松川 敬志,三井 純,尾方 克久,戸田 達史,辻 省次
    • 学会等名
      第59回日本神経学会学術大会
  • [学会発表] 多系統萎縮症におけるMIBG心筋シンチと臨床像に関する検討2018

    • 著者名/発表者名
      織茂 賢太,栗原 正典,近田 彩香,三井 純,戸田 達史
    • 学会等名
      第59回日本神経学会学術大会

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公開日: 2019-12-27  

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