研究課題
神経変性疾患の病態研究では、神経細胞のみに着目するのではなく、グリア細胞等を含めた神経系における細胞間ネットワークの破綻という観点からの病態解明の重要性が近年認識されている。筋萎縮性側索硬化症(ALS)の一部は遺伝性に発症し、その原因遺伝子の一つとしてTBK1 (TANK binding kinase 1)が最近同定された。TBK1は、免疫系のシグナル制御分子であるとともに、オートファジーにも重要な役割を担い、これまでの発表論文によるとTBK1の機能喪失がALSの発症に関わると考えられる。そこで、本研究では、TBK1の機能喪失を再現する新規ALSモデルの作成と解析を通じて、神経炎症の観点から、TBK1異常による神経変性メカニズムの解明を目指す。今年度は、TBK1ノックアウトマウスの作成を完了することができた。TBK1の欠失は胎生致死であることが知られている。そこで、遺伝子Xとの二重欠失マウス(TBK1-DKO)を作成すると、TBK1-DKOマウスは出生し、成体まで生存しうることを確認できた。これまでに、個体数を増やすとともに、表現型の観察を開始した。また、脳・脊髄におけるTBK1の発現様式を免疫組織化学により検討した。野生型マウスにおいて、TBK1は脊髄運動神経およびオリゴデンドロサイトをはじめとするグリア細胞に発現することを確認した。さらに、野生型および他のALSモデル動物における活性型TBK1の発現様式について予備的データを取得した。
2: おおむね順調に進展している
TBK1の機能喪失を再現したモデルマウスの作成が完了した。
次年度も予定通り実験計画を遂行する。
すべて 2018 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
Cell Death Differ
巻: 25 ページ: 2130-2146
10.1038/s41418-018-0098-3
Clin Exp Neuroimmunol
巻: 9 ページ: 225-234
10.1111/cen3.12476
http://www.riem.nagoya-u.ac.jp/4/mnd/index.html
http://www.riem.nagoya-u.ac.jp/index.html