研究課題
Parkinson病と多系統萎縮症(MSA)におけるαシヌレインタンパク質構造の違いが、疾患を規定する大きな因子であるという仮説のもと解析を進めてきた。特にSpring8との共同研究で、合成したタンパク質、動物モデルばかりでなく、剖検脳を用いた解析にも重点を置いて進めてきた。主に、CD、赤外分光、X線回折、NMR、クライオ電顕などの手法を用いて検討を進めている。各種手法を用いてαシヌクレインの構造の多形について報告してきた。WildシヌクレインとG51D変異αシヌクレインのfibril構造の差異を確認後、マウス脳内にそれぞれを投与。αシヌクレインのpropagationやTH細胞の障害などが異なる事を確認した。αシヌクレインの構造の違いが、臨床症状の違いを説明する事ができ報告した(Hayakawa et al. Mov Dis 2020)。我々は、Spring8のX線解析によるParkinson病剖検脳のαシヌクレインを直接解析し、その一部がクロスベーター構造を呈していることを発見、PNAS誌に報告した。これは、プレスリリースされ、国際学会でもAwardを頂いた。同様の解析をSpring8の赤外分光で行い、現在論文投稿中である。現在、我々は、αシヌクレインの構造の違いに注目して、その構造の異なるαシヌクレインを増幅することによるバイオマーカーの確立に注力している。この増幅装置は、すでに、AMED支援のもと新型HANABIとして製作し、49 well全てに超音波装置を装着し、同時に計測できる機器である。これを用いて、構造の異なるαシヌクレインを用いたバイオマーカーを開発している。また、構造の異なるαシヌクレインから、異なる抗体をすでに幾つか作成した。蛋白の構造多形により、疾患の多様性が生じることを証明し、報告してきた。我々の提唱してきた仮説が、海外でも次々と証明され新規研究として注目されている。今後の治療法の開発は、このような構造蛋白の構造多形に注目して進展するものと思われる。
1: 当初の計画以上に進展している
我々は、Spring8のX線解析によるParkinson病剖検脳のαシヌクレインを直接解析し、その一部がクロスベーター構造を呈していることを発見、PNAS誌に報告した。これは、プレスリリースされ、国際学会でもAwardを頂いた。現在、我々は、αシヌクレインの構造の違いに注目して、その構造の異なるαシヌクレインをαシヌクレインの蛋白構造の違いについて、動物モデルを用いて明確にした。in vitroでの構造改正を確認したのちに、それらを動物に投与してパーキンソン病症状の違いが確認できた。Mov Dis詩に発表して、進行性の動物モデルを作成することができ、特許を取得した。すでに、企業からの問い合わせが来ている。また、剖検脳を用いた疾患によるαシヌクレインの解析をSpring8の赤外分光を用いて行い、論文投稿中である。
我々は、αシヌクレインの構造の違いに注目して、その構造の異なるαシヌクレインを増幅することによるバイオマーカーの確立に注力している。この増幅装置は、すでに、AMED支援のもと新型HANABIとして製作し、49 well全てに超音波装置を装着し、同時に計測できる機器である。これを用いて、構造の異なるαシヌクレインを用いたバイオマーカーを開発している。また、構造の異なるαシヌクレインから、異なる抗体をすでに幾つか作成した。この抗体を用いて、治療効果を判明し、疾患特異的な治療法を開発する。
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Movement Disorders
巻: 35 ページ: 256-267
10.1002/mds.27887
PNAS
巻: 116 ページ: 17963-17969
10.1073/pnas.1906124116